教育福島0186号(1995年(H07)04月)-019page

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ける。

(2) 道徳の時間における指導の改善と充実

1) 道徳の時間を楽しく

〇 道徳の時間を、子供とともに人間としての生き方を考える時間として位置づけ、活発な意見の交換を通して、子供が楽しみにする時間とする。

〇 学校や地域の課題に沿った道徳の時間にする。

2) 道徳的価値の内面的自覚の工夫

資料、友達・教師との対話を主体的に行い、道徳的価値についての内面的自覚を図る指導の工夫が一層必要である。

〇 導入段階の工夫

〇 価値に迫る中心発問の工夫

〇 自己を振り返り、自己と対話させる方法の工夫

3) 多様な資料の開発と活用の工夫

子供たちの興味・関心を重視した資料の開発と活用の工夫が必要である。

〇 新聞記事等の時事的・今日的話題やTV・VTR等、子供の意識に合った資料の開発に努める。

〇 基本的指導過程を踏まえ、資料の多様な活用の仕方を工夫する。

4 校内研修の充実

道徳教育は、子供の課題であると同時に教師自身の課題でもある。子供とともによりよい生き方を求め、取り組んでいくところに道徳教育が成り立つ。

〇 教師の指導力の向上を目指す授業研究等

〇 教師自身の人格の向上を目指す文献研究等

5 家庭や地域社会との連携

学校週五日制の月二回実施に伴い家庭や地域社会との連携を図った教育が求められる。

〇 公聴活動を行い、広く保護者・住民の要望や願いを聞く。

〇 広報活動を工夫し、学校の考えや活動を保護者や地域の人々に知らせる。

〇 道徳の授業参観を行い、懇談会などで理解を求める。

6 教育行政担当者に期待すること

(1) 生涯学習推進本部の組織の強化

この機会に、現存の各種会議や諸団体の活動を「生涯学習」の概念で統合し、各活動を有機的に関連づけて再編成することが大切である。

〇 中央プランとして、地区・団体の計画を調整し、全体計画を作成する。

〇 地区プランとして、地区での活動計画を作成・実践する。

〇 団体プランとして、各種団体の活動計画を作成・実施する。

(2) 家庭教育学級の充実

人間性の基礎は、家庭において形成される。受胎したときから教育が始まるとさえいわれるように、家庭での教育は大切である。

〇 これから親になる若い夫婦のための家庭教育学級等を開設する。

〇 地区単位の家庭教育学級をさらに充実する。

〇 各学校のPTAとの連携による家庭教育学級を推進する。

(3) 道徳教育推進校の指定

各町村に一校ずつ道徳教育推進校を指定し、生涯教育の基礎としての学校教育の場で道徳教育の推進・充実について研究・実践する。

(4) 町(村)民憲章の具体的な実践

各町村にはそれぞれ町(村)民憲章が制定されているが、その有効な実践が課題となっている。その具現の過程で子供の地域住民としての意識を育てていくことができ、道徳性も身につくことが期待できる。

 

道徳教育振興会議を終えて

会長 湯田正郎

この度平成六年度福島県道徳教育振興会議を南会津地区において開催し、地区の各界各層から二十名の委員が委嘱されて会議を重ねてまいりました。

まず、現在の社会の風潮や子供の現状を話し合うことから始めて、現状を踏まえて道徳教育の在り方をどう変えていけばよいのかの検討に移っていきました。その間、道徳教育研究校の授業を参観し、教育現場での道徳教育への取り組みを学習しながら、やはり、道徳性の基礎を育てるのは家庭と地域であるとの認識に立つようになりました。学校でいくら道徳教育に力を入れても、社会がそれと反対のことをしていては子供の教育はできません。まずは大人の教育、親の教育、地域社会の教育が緊急の課題です。そこで、現在進められている生涯学習推進事業の中に道徳教育も含めて、家庭や地域の教育力を高めつつ、学校と家庭、地域社会が一体となって進める道徳教育を提言していこうということになったわけです。

私たちは、南会津地方のよさを生かしながら、同時にこの提言を私たちの課題として受け止め、道徳教育を推進して参りたいと考えております。各学校、家庭、地域、教育行政担当者の皆様にも、この提言を積極的に受け止めて活用していただきたいと願うものです。

(後略)

 

 

 


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