教育福島0186号(1995年(H07)04月)-020page
教育センターから
学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究(第二年次)
教育相談部
一、第二年次研究のねらい
第一年次研究で行った調査の分析から、学校不適応児童生徒への望ましい指導援助の方向性として次の四点が明らかにされました。
〇 人間関係を醸成する指導援助をすすめる。
〇 集団の中で自己表出が促進される指導援助をすすめる。
〇 学校生活に多様な価値を見いだす指導援助をすすめる。
〇 生徒一人一人の内面を理解する指導援助をすすめる。
これらを受けて第二年次は、集団への適応力を高めるための三つの指導援助試案を作成し、生徒一人一人の個性を生かした望ましい人間関係を醸成することを中心に、学校適応へ向けての実証的な研究をすすめることにしました。
二、第二年次研究の概要
作成した指導援助試案は、中学校の第一学年を対象に約二週間実施しました。各試案の実践の概要は以下のとおりです。
1 試案A(教師と生徒との人間関係を深める指導援助)
四つの指導援助の方向性のうち「人間関係を醸成する指導援助」と「生徒一人一人の内面を理解する指導援助」に焦点を当て、生徒が教師から大事にされているという気持ちを抱くことができるように、授業を中心として次のような教師から生徒への声かけを工夫して援助しました。(表1)
本試案の実践によって、教師と生徒との人間関係ばかりでなく生徒相互の人間関係も深まり、心が通い合う学級になったと受け止める生徒が増えました。
2 試案B(生徒同士の人間関係を深める指導援助)
四つの指導援助の方向性のうち「集団の中で自己表出が促進される指導援助」と「学校生活に多様な価値を見いだす指導援助」に焦点を当て『二人一組で、一人が目隠しをしもう一人が相手をあちこち連れて回る』等のグループ・エンカウンターの手法を取り入れた諸活動を行うことによって、積極的に自己表現できる機会を与え、生徒同士の人間関係を深める援助をしました。
本試案の実践によって、生徒は級友の新たな面を発見したり、考えを理解したりすることができました。実践後の生徒の意識をみる調査結果(表2)からは、本試案の実践によって「友達と活動することが楽しい」「友達が信頼できる」とする生徒が増えたことがわか
表1
・「ノートのとり方が上手だね」
・「いい考えだね」
・「上手な発表だよ」
・「先生もびっくりしたよ」
・「そうだね」
・「なるほど」
・「〇〇君、どう思う」など