教育福島0186号(1995年(H07)04月)-035page

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本来、教材・教具は、教育の目的と児童生徒個々の実態に応じて使用されるべきものです。担当している子ども一人一人の実態にあわせて指導を行う場合、その子どもに適した教材・教具を市販されている既存の教材・教具の中から選択して使用するだけでは、十分な指導の効果をあげることはできません。したがって、一人一人の子どもの教育的な効果を考えますと、教師自らが自分の担当している子どもへの指導計画に沿って、今ある教材・教具の効果的な活用を工夫することの他に自作教材・教具を新たに開発して指導していくことが大切になります。

4 自作教材・教具作製の視点

自作教材・教具を開発し活用する場合、次の四点(表2)に配慮して指導を行えば、心身に障害がある一人一人の子どもの主体性を高め、学習・生活を充実したものにできるものと思われます。

5 自作教材・教具作製の手順

表2の視点で作成した教材・教具であっても、最初から子どもにとって完全なものにすることは難しいと思われます。一般に、教材・教具は、使用対象者の特性を考慮して作成されますが、それはあくまでも教師側の予測の域を出ていません。実際の指導の場で使ってみて、子どもの障害の状況から適切であったかどうか、あるいは子どもの発達段階ないし能力面からみてどうであったか、興味・関心の度合いからいってどうであろうか、といった観点から、具体的な改善点に気付くことができるのです。具体的に気付いたことは詳細に記録して、次の機会により適切なものに改善していくことが必要になるのです。また、そういう姿勢が教師には求められているのではないでしょうか。

これら、自作教材・教具作製の手順を図示すると図1になります。

 

図1 自作教材・教具作製の手順

 

三、おわりに

 

三、おわりに

多くの学校で多くの教師の創意工夫によって多くの自作教材・教具が作製・活用されています。しかし、せっかく開発された教材・教具が十分に活用されるためには、解決すべき課題が多くあるのも事実です。

次回は、養護教育における教材・教具の工夫と活用の視点と方法を探るために行った「県内の養護教育における自作教材・教具の工夫と活用の実態調査」の結果について述べたいと思います。

 

表2 自作教材・教具の開発にあたっての視点

1) 学習の目標に合致するものであること。

※何のための教材か明確になっているか

※だれのための教材か明確になっているか

2) 学習の目標達成に効果が期待できるものであること。

(できれば、平行して実施している課題、あるいは次に予定している課題との関連性を持ったものであること)

※使用にあたってどれだけ便利であり、使用効果があるか

※実態や目標に合致した要素を最大限に盛り込み、他の要素は極力おさえてあるか

3) 内容や操作方法が、子どもの能力や発達段階に適合したものであること。

※子どもの身体発育と精神発達に則した安全な教材・教具であるか

※可塑性のある教材・教具で、柔軟に使えるものであるか

※操作が簡単で繰り返し使用できるものであるか

(簡単な操作:つかみやすい、動かしやすい、握りやすい、並べやすいなど)

4) 子どもが興味をもち、楽しみ、喜んで学習できるものであること。

※内容だけでなく、素材、色彩、大きさ、デザイン等は、子どもの興味関心を十分引くものであるか

※使用後は、収納や管理がしやすいものであるか

(※印 自作教材・教具作製上の留意点及び評価の観点)

 

 

 


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