教育福島0187号(1995年(H07)06月)-012page

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特集1

生徒指導の充実

いじめ問題対策

義務教育課

 

いじめが児童生徒の健全な心身の発達に及ぼす影響は計り知れないものがある。全国各地でいじめによる自殺など、痛ましい事故が発生していることから、いじめ問題は教育問題にとどまらず、大きな社会問題となっている。

平成五年度におけるいじめの発生件数は、全国では、小学校六千三百七十件、中学校一万二千八百十七件となっており、その件教は、平成四年度に比べていずれも減っており、昭和六十年度から調査を開始して以来統計上は年々減少の傾向を示している。しかし、確認されたいじめの発生件数の増減が問題なのではなく、いじめによることが原因で中学生が自らの命を絶つという憂慮すべき事件が相次いで起こり、いじめが教師や大人の目から益々見えにくく、潜在化、陰湿化の傾向にあることが問題なのである。

いじめの原因・背景は、それぞれのケースによって様々であるが、一般的に言えば、社会環境や家庭環境、学校における教育指導の在り方などのそれぞれの要因が複雑に絡み合っていると考えられる。従ってこの問題の解決のためには、学校・家庭・地域社会がそれぞれの役割を果たし、一体となった取り組みが必要である。

とりわけ、まず、学校・家庭においては、社会で許されない行為は子どもでも許されないとの観点に立って、善悪の判断や基礎的倫理観など基本的生活態度を身に付けさせるような教育、しつけを十分に行うことにより、本人の自覚を促すことが大切である。特に、学校は、いじめを絶対に許さない毅然とした態度で臨むことが肝要である。

また、不幸にしていじめやそれに起因する重大な事件が発生したときには、金銭を脅し取る、暴力を振るうなどの行為はだれよりもそれを行う者が悪いのだという観点に立ち、いたずらに論議を拡散させることなく、その責任の所在を明確にするという姿勢も大切である。

一般に、いじめは外から見えにくい形で行われることが多く、いじめの兆候を見過してしまう危険性が高いことから、児童生徒が、必要なときに、すぐに親や教師に相談できるよう、児童生徒と教師、教師と親との信頼関係を深め、いつでも気軽に相談できる雰囲気を醸成し、いじめの早期発見に努めることが大切である。いやしくもいじめは存在しない%凾ニ安易に判断することなく、児童生徒が一人で悩み続け、最悪の事態である自殺等が起こらないよう学校・家庭及び教育関係機関などが子供たちに手を差し延べる精一杯の努力が必要である。

県教育委員会では、いじめ問題の重大性を深刻に受けとめ、平成七年度に「いじめ問題対策事業」をおこし、問題の解消あるいは未然防止に全力をあげて取り組んでいるところである。その事業の概要は、次のとおりである。

 

いじめの発生件数

(平成6年5月1日 文部省調査)

 

(注)昭和60年度は、昭和60年4月1日〜10月31日までの値である。

 

(注)昭和60年度は、昭和60年4月1日〜10月31日までの値である。

 

(一) 学校アドバイザーの配置

教育相談の専門家(臨床心理士や教職員OB等)を県内七教育事務所に二名ずつ配置し、いじめ問題などの教育相談を電話により実施するとともに場合によっては直接、学校や家庭等を訪問し、児童生徒や学校の教職員及び保護者に対していじめ問題解消のための指

 

 

 


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