教育福島0187号(1995年(H07)06月)-026page

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ではあるが、特にラグビーにおいては、ゲーム中のコーチからの指示がハーフタイム以外に出せないことから、キャプテンの存在が特に重要視されているのである。

高校時代、私はラグビー部に所属していたが、当時のラグビー部員は個性が強すぎる人ばかりで、悪評がとても高かったようだ。このようなラグビー部を見事にまとめ上げ、すばらしい「キャプテンシー」を発輝してくれた同級生がいた。練習中はもちろん、日常生活の中でもラグビー部のきずなを強めてくれた。みんなから「親分」という愛称で呼ばれたキャプテンで、心が広く頼りになる存在であった。

実はい私も運動部のキャプテンを務めた経験があるが、親分の足元にも及ばず、反省することばかりであった。しかし、「キャプテンシー」という視点で運動部を経験できたことは、私自身大いにプラスになった。教員になってから、二つの小学校でミニバスケットボールを指導する機会があった。小規模校ではあったが、子どもと保護者の意識の高揚、綿密な練習計画、効果的なベンチワークを中心に一生懸命取り組んできた。ここで最も重要視してきたことは、キャプテンの育成であった。学生時代の経験を生かし、チームに「キャプテンシー」を築き上げていった。キャプテンを柱としたチーム作りは、予想以上に効果があがり、結果として県大会、東北大会にも何回か出場では、県を制覇することもできた。

ところで、「キャプテンシー」はミニバスケットボール以外でも威力を発揮することが多い。学級集団、委員会、クラブ、登校班、清掃班など様々な場面で、子どもの統率による真剣で意欲的な取り組みがみられる。一人一人の児童生徒に個の特性を生かせるような「キャプテンシー」を発揮させてやれるよう、教師の力量を高めたいものである。

指導組織の中でも、「キャプテンシー」が重要であろう。特に主任という立場は、サービス業的なものであり、包容力も大切だということが少しずつ実感できるようになった。

「キャプテンシー」をうまく発輝させる三本柱は、「自己研鑽」「洞察力」「謙虚さ」と思っている。正解をいつか親分に尋ねてみたい。

(白沢村立白岩小学校教諭)

 

「炎の郷」で

福地昌徳

 

観光産業の振興、後継者育成、町民相互の親睦など、幅広いねらいがあります。

 

焼き物の里、会津本郷町には十六の窯元があります。町では、会津本郷焼を産業と文化の両面から紹介しようと「炎の郷(さと)」構想を進めています。単に伝統工芸をPRするにとどまらず、町全体の観光産業の振興、後継者育成、町民相互の親睦など、幅広いねらいがあります。

かねがね、美術科教員として焼き物の勉強がしたいと思っていたところ、二年前にその「炎の郷」の本郷中学校に異動になりました。

今から思うと前任の先生にも恵まれたと思います。引き継ぎの時には会津本郷焼のあらましから、窯の操作、粘土のつくり方等々細かい所までご指導をいただくことができました。退職されたのちも、学校の窯で実演されながら、私のわからないことはその都度ご指導下さいました。何よりも助かったのは、一つ一つの窯元へあいさつに行く際、一緒に何日もかけてまわっていただいたことです。そのことで、十六の窯元のそれぞれの特色を学ぶことができました。

本校では毎年六月に、陶芸教室を行っています。十六の窯元に生徒が分かれ、それぞれご指導を受けながら、手びねりで作品をつくります。粘土五百グラムなのでそんなに大きな作品はできませんが、それでも一輪挿しやコーヒーカップぐらいの作品はできます。事前に、美術の授業でアイデアスケッチを何枚か描かせ絵付けのできる窯元に行く生徒には図柄も考えさせておきます。制作時間は二時間ぐらいですが、なかには手のこんだ作品を制作する生徒もいます。その後、窯元の人たちが乾燥させ、焼成してくださいます。

八月の第一日曜日には「せと市」があり、学校としてもJRC委員会の生徒が全校生の作品を販売します。生徒たちには、自分の作品が売れたかどうか気になって何度も露店の前を行き来する姿や、愛着の深い自分の作品を自ら買っていく姿などが見られます。また、中学生の作品を楽しみにし、毎年来てくれる固定客もいるほどです。喜んで買ってくれる人たちや窯元諸氏のご協力によって、毎年、陶芸教室ができることに心から感謝しています。

私がこの地で学んだことは、自分がいかに焼き物について知らなかったかということでした。陶粘土にしても初めて知ることが多く「釉薬(ゆうやく)」にいたっては何ひとつわかりませんでした。焼き物の奥深さを知り、ま

 

 

 


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