教育福島0187号(1995年(H07)06月)-038page

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養護教育センター通信

養護教育における教材・教具の工夫と

活用に関する研究(1年次)

教材・教具活用の視点と方法

その2

 

一、はじめに

前回は、養護教育における教材・教具開発・活用の基本的な考え方について述べましたので、今回は、福島県の養護教育における自作教材・教具の活用等の実態調査の結果について報告します。

 

二、研究の実践

(1)研究目的

県内の盲・聾・養護学校、特殊学級等設置小・中学校で養護教育に携わる教員の自作教材・教具の工夫と活用の実際、流通の状況、研修状況、教材・教具の工夫と活用に対する意識などの実態を明らかにし、養護教育における教材・教具の工夫と活用の現在の課題及び今後の活用の視点と方法を探ることを目的としました。

 

(2) 結果と考察(一部抜粋)

回収した調査書は、多面にわたって分析し考察を加えましたが、ここではその一部について述べていきます。

 

自作教材・教具の開発、流通の状況及び意識

1) 自作教材・教具作製の経験の有無

自作教材・教具の作製の経験を持つ教員は、全体の56%でしたが、経験のない教員の「作製したことのない理由」の中に「作製しなくとも先輩の作製したものを活用したりして日々の指導に充分な成果を上げている」という意見もあったことを考え合わせると、学校現場にあっては、自作教材・教具の作製と活用に高い関心を示していることが分かりました(図1)。

 

2) 情報収集や資料の提供

「自作教材・教具」の情報収集や資料の提供等については、全国の養護教育関係機関の教材・教具に関する研究等の資料などを読んだことがあると回答したのは八七〇名中四九二名(57%)でした(図2)。その四九二名のうち、これらの資料等を参考にして実際に教材・教具を自作した経験を持つ者は一六五名という結果でした。このことは回答者の三分の一が、実際に教材・教具を作製しているということを示しています。

また、このことから、適切な情報を提供することにより、障害がある子どもの指導に自作教材・教具が活用される可能性が高くなることが分かりました。

また、自作教材・教具を作製していない理由としては、時間的余裕がないことが多く挙げられていました。今年度からは、学校五日制が月二回となることも考えると、これまで以上に時間的余裕はなくなります。したがって、学校運営にゆとりをもち、教材・教具作製の時間の確保が必要であると思われます。(図3)

 

 

 


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