教育福島0188号(1995年(H07)07月)-016page

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「自己決定の場を与えること」「自己存在感を与えること」「人間的なふれあいを基盤にすること」の三つを再認識し、各教科、道徳、特別活動など学校教育すべての活動に積極的に機能させていく方策をたえず見直していくことが大切である。

1 共感的な人間関係の育成

児童生徒は学校での集団生活を通して社会的体験を深めるとともに、様々な人間関係の中で社会性を養い、自己を高めていく。

児童生徒は、親しい友人や安心できる人との関係では、あるがままに自己を表現し、生き生きと自己を発揮している。

それゆえ、児童生徒が互いに喜びを共感し、理解を深めあうことができる活動や体験的活動を積極的に取り入れて人間関係を深め、学級の雰囲気を心理的に安定感のある支持的風土に作り上げていくことが大切である。

日頃から学校や学級内の児童生徒間の人間関係に目を配り、好ましい人間関係を醸成するとともに、児童生徒相互、教師と児童生徒間に共感的で受容的な人間関係を育て、一人一人の児童生徒が集団の中で生き生きと活動できるように支援することが重要である。

2 真の児童生徒理解に立った指導の展開

各学校では、児童生徒の健全な発達を目指して日々努力している。しかし、児童生徒の様々な行動や言語等に表わされるその背景に対する理解が不十分であるために、指導や対応が表面的であったり、行き違いがあったりして、児童生徒の自己実現が疎外されていることも少なくない。

児童生徒理解は指導援助のための最も重要な前提である。どれだけ深い理解を教師が持つかが支援を進める鍵である。

児童生徒とのふれあいを基盤にし、児童生徒は絶えず成長する存在であることを認識し、児童生徒のよさを積極的に見い出す視点で理解を進めることが大切である。

とりわけ、児童生徒理解においては、発達に伴う児童生徒の変化や特徴、また、その時期の教育的な課題を明確に把握しておくことが大切である。更に、その児童生徒が、自分自身のことや自分を取りまく人々をどう受け止めているか、という自他の認識の程度を把握しておく必要がある。

学校では、児童生徒に共感的な理解を示し、児童生徒の立場に立って、人間味のある指導・援動が行えるよう教師自身の在り方や指導体制について、常に改善の努力をすることが求められている。

3 児童生徒の立場に立った教育相談の推進

成長過程にある児童生徒の多くは、友人関係や学習状況などについて、様々な不安や悩みをかかえながら学校生活を送っていることが多い。

児童生徒が意欲をもって自己を発揮できるようにするためにも教育相談を計画的にあるいはタイムリーに進める必要がある。

学校における教育相談は、特別な心理療法等を行うことに意味があるのではなく、話をよく聞き、一人一人の児童生徒をありのままに受け止め、そのよさや積極的な面を評価し、理解して、児童生徒がそれを伸ばしていくことができるように支援することである。

このような教育相談が積極的に行われるとき、児童生徒の悩みが解決されるばかりでなく、問題行動等の早期発見にも大きな役割を果たすことになる。

特に、児童生徒に最も身近で、触れ合いやかかわりを持つ機会の多い学級担任教師や養護教諭の果たす役割は大きく、日常の教育活動の中で状況に応じた多様な相談活動を柔軟に展開していくことが大切である。

4 望ましい学級集団の育成

一人一人の児童生徒が自己実現を図り、楽しい学校生活が送れるようにするには、よい学級集団を育成することである。

児童生徒が不安に惑わされることなく、友人と協力して活動する中で、自分の存在意義を感得し、所属感や連帯感を自覚したとき、児童生徒は意欲的になり、学級集団を更に向上させようとする。そして、建設的で支持的風土に満ちた学級集団の中で児童生徒は、友人との様々なかかわりを通して、社会性を養い自己理解を深めることになる。

従って望ましい集団活動が十分に展開されるような学級集団の育成に努めることが大切である。

5 いじめ問題や学校不適応問題の解消

いじめの問題は児童生徒の健全な成長にとって看過できない影響を及ぼす深刻な問題であるとともに、人権に関わる重大な問題である。また、いじめは外から見えにくいこと、当該教員の知識や経験等によっては、解決を困難なものとする場合もあることから学校を挙げた真剣な対応が必要となる。

学校を挙げて、いじめ問題に対する正しい認識を繰り返し確認すること、点検を日常的に行うこと、強い緊張感と危機感を持って日々解消のための努力を続けること、取組みの在り方について不断に見直しを行うことが重要ある。

 

 

 


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