教育福島0189号(1995年(H07)09月)-008page

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特集1

 

進路指導の充実

生き方指導としての進路指導

義務教育課

 

1 はじめに

 

平成五年二月の文部事務次官通知により、学校が業者テストに関わらなくなり、早三年目を迎える。

この進路指導の改革は、「十五歳でどのような進路選択をしても、将来の道への可能性を残す」という考えが基本にあり、高等学校の制度改革とも運動している。さらに、文部省の職業教育の活性化、促進の施策としても現れ、特に、偏差値教育の弊害があったとされる職業高校への進学の在り方については、広く大学への門戸を開くなど、総合的な改善がなされているところである。

 

2 進路指導の現状と課題

 

県内の各中学校でも、当初はデータ不足に対する不安や動揺が見られたものの、現在は、学校教育活動全体を通して進路指導の在り方を考え、生き方指導を中心とし、生徒が主体的に進路を選択する本来の進路指導へと転換が図られている。さらに、業者テストから脱却して、自校の進路指導を見直し、工夫・改善を加えて実践を積んだことにより、進路指導に対する自信が回復してきている。

一方、このような進路指導の改革の中にあって、いくつかの課題も残されている。一つは業者テストに代わるテストの活用に関すること、二つは保護者の進路指導への理解と啓蒙に関することである。

 

3 進路指導の課題への対応

 

(1) データの適正な活用

各学校では、業者テストに代わるデータを求めることがあるが、偏差値による「生徒を一つのものさしで計って序列化することの弊害」(平成六年度我が国の文教施設−−文部省編)について、もう一度、再確認する必要がある。学力テストなどのデータは生徒の主体的な進路選択の一つの資料として活用するものであり、業者テストから脱却した趣旨に立ち返り、認識を新たにしたい。

今後とも、生徒が主体となる進路指導を推進することは勿論のこと、生徒一人一人が進路の多様な選択可能性についての理解を深めていくよう指導・援助していきたい。

(2) 保護者の啓蒙

保護者の「進路指導」への理解については、依然として深まっていない現状にあり、様々な手段を用いて重点的に理解を求めていくことが課題となっている。

各学校では、以前にも増してより多くの機会を設け、保護者の理解を得るべく努力をしてきている。しかし、進路指導の核心である「生き方指導」についての理解が得られていないのではないか、という懸念もある。進路指導においては、教師と保護者が同じスタンスで指導に当たる必要があり、教師の積極的働きかけによって、保護者参加の進路学習、進路相談や、保護者が参画する体験学習などを取り入れながら、保護者への啓蒙を図ることが大切である。

進路指導充実のためには、教師自身の進路指導に対する理解と指導力の向上が一層求められているところであり、各学校では、中学校入学時からの指導計画の整備を図るなど、生き方指導を中心に据えて、さらに進路指導体制・計画を充実させる必要がある。また、基礎学力向上を重点的に推進し、生徒一人一人の進路に対する主体性と選択可能性を高めていくことが大切である。

 

4 啓発的な体験の重視

 

以下に、紹介する平成六・七・八年度中学校進路指導総合改善事業研究推進実施校である福島市立信陵中学校では、以上のような課題を的確に把握し、地域の教育力を活用しながら、啓発的な体験学習を積極的に取り入れた進路指導を展開している。

生徒の進路選択の可能性を高めながら、総合的な進路指導の在り方を追究しており、今後の進路指導の在り方を指向する研究となっている。

※参照資料:「平成六年度我が国の文教施策−−文部省編」第四章生き方としての進路指導を目指して

 

 

 


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