教育福島0189号(1995年(H07)09月)-009page

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(研究実践)自らの進路を主体的に考え選択する能力の育成をめざす教育実践

福嶋氏立信陵中学校

 

一 はじめに

 

平成六年に文部省は、中学校における進路指導の改善充実を図るため、本事業をスタートさせた。(詳細は平成六年教育福島九月号参照)全国各県及び政令指定都市で指定されており、本県では福島市が推進地域に指定され、実施校として本校(校長小林正守 生徒数八百四十八名)が取り組むこととなった。この研究指定は、三年間で、現在平成八年の発表に向けて、全校一丸となってその推進、実践に努力しているところである。以下、その概略を述べる。

 

二 本校における進路指導の課題と研究主題設定の理由

 

研究を進めるに当たり、本校における進路指導の課題を、現状から次のようにとらえた。

〇進路指導は三年生になってからの進学指導が中心で、学校の教育活動全体の中で、三年間を見通して展開されているとはいえなかった。

〇学級活動における進路指導は、生徒一人一人の在り方や生き方を考えさせるものとして十分機能するものではなかった。

〇体験を通した進路学習では、職場見学や高校の体験入学への参加は行われていたが、職業観や生き方を考えさせる活動としては十分とはいえなかった。

〇進路選択に当たっては、テスト結果に基づいた進学先選定の指導に力点がおかれていた。

これらの課題を解決するためには、1)生徒一人一人の生き方の指導を中学校三年間を通して計画的に、継続的に、組織的に進めることが必要であり、また、指導に当たっては、2)地域の教育力を活用し、様々な体験的な進路学習を重視して、主体的に進路選択ができる能力を育てることが大切である。そこで、これら二つの具体策を推進することにより、主体的に自分の進路を考え、選択、決定できる生徒の育成をめざすことをねらい、本主題を設定した。

 

三 研究の構想

 

1 研究のねらい

中学校進路指導総合改善事業の趣旨の中には、入学時から三年間にわたって計画的・組織的に進路指導を行うこと、地域の様々な教育力を活用し、生徒に勤労や社会奉仕の体験を得させること、職業生活や社会生活等について幅広く理解させることがあげられている。これらのことを踏まえ、本校の課題の解決をめざして次の四つをねらいとした。

(1) 進路指導を学校教育活動全体の中で展開し、特に、ボランティア活動や職業人による講演会などを重点的に行い、生き方や社会生活について理解させる。

(2) 体験的活動により、できるだけ直接的な経験を大切にし、将来の職業に対する考え方や生き方について、広い視野からとらえさせる。また、進路設計のための情報を自らの手によって収集させ、活用させる。

(3) いろいろな進路学習で得たものをもとに、学級活動の中で自分の将来の職業に対する考え方や生き方についての洞察をさらに深めさせる。

(4) 生徒が自ら進路を選択し、決定するためには、自分の適性や能力を理解する必要がある。この点から、生徒一人一人が自己診断するための資料を収集、提示し、進路相談を進める。

これらのねらいを通して育てる生徒像についても、主体的な進路選択能力の育成という点から、「自分の生き方を真剣に考えることができる生徒」、「自己を知り進路設計ができる生徒」、「いろいろな情報をもとに進路選択ができる生徒」の三つでとらえた。(資料1)

 

資料1 めざす生徒像と進路指導研究のねらい

 

2 研究の内容

 

2 研究の内容

研究を進めるに当たり、その中心となるのは、地域の教育力をどのように取り入れ、活用していくかということである。卒業生、保護者、各企業、公共施設、社会福祉施設、伝統文化等、様々な啓発のための教育力を生かし、次の四つの指導事項をおさえて、本校で実施可能な内容を取り入れるようにした。

(1) 学校教育活動を通した進路指導

 

 

 


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