教育福島0189号(1995年(H07)09月)-039page
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〇 自分の論を展開するために要する資料収集・分析と論理的な思考は、今の子どもたちにとって必要なものであると感じた。
〇 自分の考えを持つ、調べる、友だちの意見を聞く、判断するといつ学習活動ができるので、社会科の学力をつけさせるのに有効な手立てであると考えた。
〇 調べる過程でわかる楽しさ、物事を一点から見て判断している自分に気づいた。
(感想記録から)
ディベートを学習に取り入れる場合、
・テーマ設定を教師がするのか児童・生徒がするのか
・立場は児童・生徒本来の考えと同じか
・「討論」の形式をどうするか
・ルールはどう設定するか
・判定はつけるのかどうか
など、様々な問題が考えられます。しかし、どれも「こうしなければならない」という決まりがあるわけではないので、児童・生徒の実態に合った形で、無理なく設定し行うことによって効果が期待できると考えています。
〈ロールプレイング、ソシオドラマ演習〉
ロールプレイングは、道徳や国語などの授業で行われることが多く、登場人物の心情を共感的に理解しようとする場面で用いられているようです。
ソシオドラマは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、文字通り「社会劇」という意味で、社会的な問題をみんなで考えるときに用います。
ロールプレイングやソシオドラマを通して、児童・生徒に、事象に対して多画的な見方・考え方をさせるのは、特に、社会的思考力を育てる上で有効だと考えます。
講座では、「ごみ焼却場建設」をめぐる市当局と地域住民との意見の違いなどを例にロールプレイングを、また、『六千人の命のビザ』という、ユダヤ人を救った外交官杉原千畝の物語を例にソシオドラマを行っています。
最初、場面の状況や物語の概要を説明し、配役を決めます。その後で劇に入り、先生方にそれぞれの状況を再現していただきます。所員は「監督」の役を行い、登場人物の気持ちを聞いたり、配合を交換したりするなどの指示を与えていきます。
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ユダヤ人が領事館につめよる場面
はじめのうちは「役」を演じている先生方も、しだいに、登場人物と自分とをオーバーラップさせ、主体的に状況を受け止め、自分から行動を起こすようになっていきます。受講された先生方の感想には、次のようなものがありました。
○ ロールプレイングを行って、「市当局」と「住民側」の立場、思いや願いがよく分かった。
〇 ユダヤ人の役をやっていくうちに、その役になりきってしまい、その役の心の内面を考えるようになり、すごく貴重な体験をしました。
児童・生徒もこのような体験を通じて、社会的事象のもつ意味を主体的にとらえていく力を身につけていくのではないかと考えています。
三、おわりに
「新しい学力観」では、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力の育成を重視しています。現在、それをどう授業で具体化していくかが課題となっています。
児童・生徒が自ら意欲的に取り組み、思考し、判断して、「なるほど」と納得して、知識や技能を習得していくような授業の創造を求め、「参加型の講座」の内容充実に努力していきたいと考えています。
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