教育福島0190号(1995年(H07)10月)-038page

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研究実践

「生徒の自主性・主体性を育てる生徒指導の在り方」

生徒一人一人を大切にした生徒指導を通して自ら学ぶ意欲を育て、活力ある高校生活の実現を目指して

県立喜多方商業高等学校

 

一 学校および地域の特色

本校は大正三年に地元産業界の熱望により、町立喜多方補修学校として創立され、これまで産業経済人の育成という使命を果たしてきた。最近の情報化の進展に対応して各界の要請する人材を送り出すために、商業科四クラスのうち二クラスを情報会計科に改編した。本年度はその完成年度であると同時に、創立八十周年を迎える年でもある。一万有余名の卒業生は、地元を中心に全国各地において、産業経済界は勿論のこと官界、法曹界、教育界等の各分野で活躍している。

本校の所在地である喜多方市は、近年は「蔵とラーメンの街」として県内外から訪れる観光客も多い。また、押切川一帯には、当地方の文化の殿堂である喜多方プラザやふくしま国体のバレーボール会場になる体育館、さらには野球場などの施設が整い、街全体が活気を呈している。このような状況において本校生に対する地元の期待も高まっている。

 

二 主題設定のねらい

本校生は、行動が受け身で消極的であり主体性をもって取り組むという姿勢が乏しい。このような認識に立ち、生徒が持つ個々の能力、興味・関心、特性を積極的に引き出し、生徒全員が自ら参加する形での学習活動・学校行事・生徒会行事を展開することにより、活力あふれる充実した学校生活を実現させることを願って本主題を設定した。

 

三 研究組織

 

1 五つの指導班を組織し、全職員が班に所属するようにした。

 

1 五つの指導班を組織し、全職員が班に所属するようにした。

2 研究推進委員会は教頭、事務長、各班の班長・副班長で構成し、研究推進会議は全職員で構成した。

 

四 研究実践

1 学習指導班

実践項目

(1)わかる授業の研究と推進

(2)課題学習の活用と推進

(3)自習時間の充実した活用

(4)学習発表会の推進

「わかる授業」を目指した授業研究、教材研究等について、校内研修を計画的、組織的に推進し、教師自らが変わることに努めた。また、自習時間の充実した活用を目指して、生徒が記入する「自習時間反省カード」に基づき課題内容を工夫することに努めた。さらに不意の自習時間に備えてリザーブ用の課題も準備し、学習委員が時間割変更板を見て自習課題プリントを保管ロッカーから取り出して配布し、終了時には「自習時間反省カード」の記入を生徒自らが行うようにした。

2 学級指導班

実践項目

(1)ホームルーム活動内容の理解

(2)自主的な判断による行動

(3)年間計画の立案と運営

学校生活における最も基本的な集団であるホームルームの意義や内容についてホームルーム運営委員の学習会を開き理解を深めさせた。特にホームルームごとに学級目標を設定し、ホームルーム年間計画のテーマを「悩みの調査」結果からも取り上げ、「学習に関すること」「在り方生き方」等についても取り組んだ。テーマによっては運営委員に展開案を作成させることにより、生徒はホームルーム活動の意義を理解し、主体的に展開することができた。

3 生活指導班

実践項目

(1)公徳心の向上

(2)礼儀作法の徹底

(3)規律ある生活態度の育成

あらゆる機会を通じて「在るべき態度・行動」を啓蒙したり、実践後に反省の機会を設けて、意識の高揚に努めて来た。生徒は、全校生による「クリーン大作戦」の経験を機会に「させられている」という意識から抜け出して、主体的に行動するようになり、結果として、ゴミの持ち帰りを実践するようになった。また、規律ある生活態度の育成についても指導委員会の活動により生徒の自覚が高まった。

遅刻入室カード(十三回以上になると黄色の部分に記入するのでイエローカードと呼んでいる)の導入は遅刻常習だった生徒にとっては自ら注意する契機となった。

 

 

 

 

 


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