教育福島0190号(1995年(H07)10月)-040page

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図書館コーナー

図書館と著作権

 

野球のルールにボークというのがある。アメリカではこういう動作をしたらボークになるからぜったいにやるなと教えるのに対して、日本ではどういう動作まではボークにならないかということを事細かく教える。つまりこっちの道へは行くなとは言わず、抜け道に通ずる道を教えるのだそうだ。

さて、著作権の話である。

最近、著作権という概念がやっと定着してきたが、それを保護する著作権法になるとまだあまり知られていないのが現状である。

まず、著作物とは具体的にどんなものかというと、1)小説・脚本主嗣文・講演・その他の言語著作物 2)音楽の著作物 3)舞踊または無言劇の著作物 4)絵画・版画・彫刻・その他の美術著作物 5)建築の著作物 6)地図または学術的な性質を有する図面・図表・模型・その他の図形著作物 7)映画の著作物 8)写真の著作物 9)(コンピュータ)プログラムの著作物など多岐にわたっている。このほかにも、著作物を翻訳・編曲・変形した二次的著作物、百科辞典や雑誌・新聞等の編集著作物、データベースなどが加わる。

そして、これら著作物の完成と同時に発生する著作権は、著作者が著作物を独占的に利用する権利で、図のように著作者人格権と著作権の二つに分かれ、著作(財産)権は原則として著作者の死後五十年間その権利が存続する。

著作権法は、もちろん著作者の権利を保護するものであるが、著作者の許諾を得なくても条件付きで著作物の利用できる場合がある。

まず、私的使用のための複製。そして図書館等における複製、引用、教科用図書への掲載、学校教育番組の放送、学校その他の教育機関による複製(学校その他の教育機関における複製にはどんな条件がついているかというと…。実際に教育を担当するものが、授業の過程で使用する目的で、必要と認められる限度において著作物の種類・用途・複写の部数・態様が著作権者の利益を不当に害さない範囲で複製できるとあり、学校図書館が業務として複製物を提供することはできない。)、試験問題としての複製等々。(詳しくは著作権法 第五款著作権の制限)を参照のこと。

ここで言う「図書館等」とは国会図書館・公共図書館(図書館法第二条第一項に定める地方公共団体等が設置する図書館)・大学図書館・高専図書館等が該当し、高等学校以下の学校・各種学校に設置された図書館は該当していない。そして複製の条件は、営利を目的としない事業として、自館の図書館資料を司書が利用者の求めに応じ調査研究のために、著作物の一部分を一人につき一部提供できるとある。

ところで、県立図書館が複写サービスを開始したのは、一九六七年の四月。当時は貸出しできない資料に限ってのサービスだったが、二十年前の一九七四年と昨年度を比較すると、件数は六倍、枚数は四倍になる。もちろん複写機器が急速に開発され普及・浸透し、情報や知識の伝達手段が多様になってきたからではあるが、今では資料から書き写している人はほとんど見受けられない。

話が難しくなった。優秀なコーチ役にも道は厳しい。

 

 

 

 

 


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