教育福島0190号(1995年(H07)10月)-050page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育福島0190号(1995年(H07)10月)-050page


ふるさと探訪

県指定重要文化財(考古資料)

借宿廃寺跡出土品一括

所在地 白河市字中田七番地の一 白河市歴史民俗資料館

所有者 白河市

借宿廃寺跡は、白河市大字借宿字株木にあり、南北四・五m、東西一三・六mの土壇が残っています。

「白河風土記」によりますと、文化年間には礎石が二〇個あったとされていますが、現在は三個の自然石があります。東北地方の初期仏教文化の遺跡としてでなく、白河郡家(国史跡関和久官衙遺跡)の附属寺院として重要な遺跡で県指定にもなっています。

この地から、借宿廃寺跡の創建瓦である奈良時代初期の複弁六葉蓮華文軒丸瓦・ロクロ挽き重弧文軒平瓦をはじめ、多賀城との関連を窺わせる重弁八葉蓮華文軒丸瓦・手描き重弧文軒平瓦・文字刻印瓦などがあります。これら瓦は、国史跡の関和久官衙遺跡や関和久上町遺跡のものと共通するもので、奈良時代の白河地方に栄えた仏教文化と白河郡家との関係を示す貴重な資料であるとして、平成七年三月三十一日付けで県重要文化財に指定されました。

なお、故岩越二郎氏らによって採取された出土品の拓本等は、出土地点・来歴などが克明に記載されており、今後の研究の基礎になるとして、附(つけたり)として指定されます。

県指定重要文化財(考古資料)

県指定重要文化財(考古資料)

仙台内前遺跡出土品一括

所在地 福島市上町六番三十二号 福島市資料展示室

所表者 福島市

仙台内前遺跡は、福島市松川町水原字仙台内前にあり、JR松川駅の西方約五キロメートル、標高二百メートル余の水原川段丘上にあります。

縄文・平安・中近世時代の遺跡で、昭和六十二年の発掘調査で、縄文時代目撃口(草創期)を主体とした大形の磨製・打製・半月形・円盤状石器等六点がA地点からまとめて発見されています。また、二号住居跡の床面などから、土器破片や石器を発見しています。

この遺跡で出土した土器は、共通して薄手の破片ですが、A地点からはしばしば爪形文を施すことが特色で、F地点と二号住居跡から発見した破片は無文が主体を占めています。

このことから、一遺跡にもかかわらず、出土地点が異なる両者の間には、時期の違いがあることを示しています。

仙台内前遺跡出土の縄文土器破片と石器は、断片的な資料がほとんどの県内の縄文草創期の資料の中で、唯一まとまる貴重な資料であるとして、平成七年三月三十一日付けで県指定重要文化財に指定されました。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。