教育福島0191号(1995年(H07)11月)-032page
平成5・6年度 文部省指定研究
奉仕等体験学習
-奉仕等、地域に根ざした体験学習を通して他を思いやる心を育むとともに実践する力を養う-
福島県立本宮高等学校
安達太良クリーン登山
一、研究主題設定の理由
1、高齢化社会への対応
2、学習指導要領への対応
3、地域社会との連携
確実にやってくるのであろう高齢化社会において、老若協調社会を形成するための潤滑油として「奉仕のこころ」は不可欠で、次代を担う若者たちの役割は今以上に重要になると考えられます。学習指導要領にうたわれている勤労や奉仕にかかわる体験的学習については、従来より本校の教育活動として取り上げてきたものですが、この研究指定を機に、さらに、本校の教育活動に明確に位置づけ、具体化していきたいと考えました。
折しも、本校の所在する本宮町は、県内で初めて「美しいまちづくり推進条例」を制定した自治体です。環境美化に対する行政の厳しい取り組み姿勢を、住民としての本校生に自覚させ、従来から実施してきた奉仕活動をより積極的に展開することにしました。
二、研究体制
指定研究をするに当たって、現在機能している校務上の諸組織をできるだけ活用していくことを基本に据えました。その理由は、指定前より研究主題に沿った活動を展開していたことによります。ただ、総括的な立場から全体の調整や外部との折衝にあたる部門として「研究推進委員会」を設けるとともに、この下に校務分掌の各部を小委員会として配しました。この体制で生徒の内面を啓発する「学習領域A分野」と具体的な実践的活動を展開する「学習領域B分野」の二領域からテーマに迫ることにしました。
三、研究方針
(1) 意識の喚起
内在する奉仕のこころに気づかせ、自覚させる。
(2) 行動する勇気
「為す」ことによって、奉仕のこころを体得させ、具体化する。
(3) 自発的意志の育成
身近なこと、自分に関心のあることから始めさせ、自然体でスムーズに行動できるようにする。
この三つの方針を掲げ、小委員会ごとにさまざまな活動計画を立案し、実践しました。
四、研究内容及び実践活動と成果
この二年間、研究主題を具現すべくさまざまな実践活動を展開してきました。小委員会独自の計画によるもの、各委員会の連携によって実施されたもの、学習領域A・B双方にわたるもの等、その性格、規模、内容、実践対象はそれぞれ異なってはいますが、生徒の意識の高まりを念じ、実践する勇気を期待しながら鋭意取り組んできました。
内に秘めた奉仕のこころを育み、引き出すための取り組みとしては、ボランティア活動に携わる方々の話を聞いたり、意見交換会や、奉仕に関する作文コンクール等を実施し、生徒への啓発を図りました。
「一本歯の天狗様」
日本赤十字社 村野井幸雄氏