教育福島0191号(1995年(H07)11月)-033page

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〈講演を聞いて〉 三年 森田裕子

「ボランティアは偽善だ」。以前友人が言ったことがありましたが、この時は、これを否定する自信がありませんでした。ボランティアは自己満足ではないか、そう自問自答しているうちに本当はどうなのかわからなくなりました。こんな時、今回の講演会が催され、冷静に考え直すよい機会になりました。-略-この講演を聞いて、偽善とか自己満足とか、そんなことは問題ではなかったのです。大切なのは心の持ち方でした…。

 

奉仕の行動を身につける学習では、まず、身の回りのできることから始めました。校内で出るゴミの分別を徹底し、リサイクルに努めました。

 

ゴミの分別

 

ゴミの分別

 

また、学級花壇の管理、さらには生徒会において「クリーンスクール運動」を次の三つのスローガンのもとに展開しました。

1、全員でクリーンスクール運動に参加しよう。

2、自らの行動に責任を持とう。

3、委員会活動を実体化しよう。

また、JRCでは町の保健課や、福祉協議会との連携を図りながら積極的に活動を進めました。

校外における活動としては、安達太良クリーン登山を実施しました。

 

学級花壇(球根植え)

 

阿武隈川にもゴミ…白鳥が泣きますね。

 

阿武隈川にもゴミ…白鳥が泣きますね。

 

安達太良登山は、伝統行事として毎年実施してきたものですが、今回は、一、二年生全員が山頂に向かって、ポイ捨てされた空き缶、紙くず、空き瓶などを回収し、持ち帰りました。また、通学路をはじめ、駅や公園、白鳥の飛来する阿武隈川周辺の美化活動を実施しました。

 

〈ゴミ拾いの後で〉 一年 鈴木優子

学年の奉仕活動で、町内のゴミ拾いを行いました。燃えないゴミを入れる袋と燃えるゴミを入れる袋を持っていきました。-略-駅の周辺にはタバコの吸いガラやガムの包み紙などが、歩道よりも歩道と車道のすき間や花壇の中にあり、拾うのに苦労しました。-略-自分が拾ってみると、どれだけ大変で、どれだけ迷惑をかけているかがよく分かった。

私はこれまで個人的な奉仕活動をしたことがありませんでした。しかし、今回の経験を通して、身近にできる奉仕活動がたくさんあることを知りました。また、恥ずかしいとか、恰好悪いとか、そんな気持ちが前にでて態度に表すことが難しいが、一度経験すれば、終わったあと、本当にやって良かったと思えることがわかりました。

 

五、研究のまとめと今後の課題

(1) 研究のまとめ

さまざまな奉仕等体験活動を通じて、生徒たちには、以前にも増して「奉仕」に目を開く心が生まれ、奉仕に対する関心と意識が高まり行動が伴うようになりました。また、この研究実践を通して、生徒のこのような変容を期待していた我々教師にとっても大きな励みとなりました。

1) 思いやりの大切さや優しさを知るとともに、環境問題にも目を向けるようになった。

2) 額に汗して奉仕することの意義と協力することの大切さを知った。

3) 奉仕や環境に関する体験学習が教育活動の中に定着してきた。

4) 教師側にも体験学習に対する理解が深まり、今後の教育活動の中で、継続的に実践しようとする気運が高まった。

(2) 問題点と今後の課題

1) 各教科や特別活動の学習内容と奉仕等体験学習との関連性を一層明確にし、日常の教育活動に生かす工夫をする。

2) 学習領域A・B分野の連携が必ずしも効果的でなかった。生徒の主体性を生かし、より効果的な連携の在り方について研究する。

3) 保護者や地域との連携については、生徒の自発性を尊重しながらより緊密な連携を図る。

4) 学校週五日制の実施に伴い、生徒の中に奉仕のこころを定着させ、日常生活において自発的に実践できるようにする。

 

 

 


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