教育福島0192号(1996年(H08)01月)-010page
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「具体的な体験や活動」を取り入れた社会科授業のあり方についての実践的考察
−精選の仕方の工夫と単元構成の工夫−
会津若松市立城西小学校教諭 山本靖
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一 研究主題設定の理由
具体的な体験や活動を取り入れた社会科の学習は、その表面的な活動性の高さ以上にその内面、すなわち、体験や活動によって誘発される各自の思考や判断、表現等の活動が、社会認識の獲得に向かい得ることを重視しなければならない。
そのためには、具体的な体験や活動の精選が必要となるが、その手順や方法は明確ではない。また、体験や活動は、内容や思考、情意等の面において、その前後の授業と有機的な連続性が確保された単元に位置付けなければ効をなさない。
以上のことから、具体的な体験や活動が授業の質的改善に向けてより高い効果をもたらすためには、その精選の仕方の工夫と、単元構成の工夫との双方からの検討が必要だと考え、標記の主題を設定した。(図1)
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図1
二 設定した仮説
(1) 「精選の仕方の工夫」の仮説
指導要領の目標や内容及び教科書や先行実践の分析をもとに導入可能な体験や活動を列挙し、児童の実態や要望、問題解決的な単元展開の各段階との適合性等を基準に絞り込んでいけば効果的で効率的な精選が可能になるであろう。(探索型の研究)
(2) 「単元構成の工夫」の仮説
一小単元一サイクルを基本とした単元展開において、(1)で精選した体験や活動を、以下の三つの手立てを講じた単元に位置付けていけば、各自の連続的な思考・判断・表現活動によって、社会認識の獲得が可能になるであろう。(仮説検証型の研究)
1) 「なぜ」型の課題と「どのように」型の課題とを組み合わせる。
2) 個人で解決する場と協力して解決する場とを組み合わせる。
3) 「社会的思考・判断」を直接的に促す時間を特設する。
三 研究の計画
研究単元は、第五学年の「私たちの生活と情報」である。他は省略。
四 研究の実際
(1) 具体的な体験や活動の精選の実際
1) 導入可能な体験や活動の列挙
仮説にもとづいて地域や学校の実態を考慮しながら列挙していった結果、二十八の体験や活動が挙げられた。
2) 列挙した体験や活動の絞り込み
続いて、以下の観点や手順で順次絞り込みの作業を行っていった。
ア 新聞を中心とした単元展開にすることとし放送に関連するものを削除。
イ 発達段階や単元の目標から考えて高度と思われるものを削除。
ウ 他の体験や活動の補完や発展的扱いが適当と思われるものを削除。
ここまでで1)で列挙した二十八の体験や活動は十三に絞り込まれた。
エ 目標・内容を検討し、単元を「新聞産業の現状と従事する人々の工夫や努力」と「新聞と国民の日常生活との関わりや国民生活への影響」の二つの小単元で構成することとし、十三の体験や活動をその内容との関りでそれぞれ七つと六つに振り分けた。
オ 実態調査(新聞についての児童の知識や生活経験)の結果と小単元の目標・内容とを対比し、エの七つと六つの体験や活動のどれをどんな順番で組み合わせればねらいにせまれるかを考え、仮の展開案を構想した。
カ 好きな社会科の活動を児童に自由記述させ、そこから抽出した二十八項目の学習活動に対する好感度を「まったくしたくない」から「とってもしたい」までの七件法で
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