教育福島0192号(1996年(H08)01月)-014page
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一人ひとりの個性を生かしながら、豊かな身体表現力を育てる指導
福島市立杉妻小学校教諭 斎藤利夫
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一 研究主題について
1 研究主題設定の理由
(1) 児童の実態
児童のこれまでの表現運動への取り組みを見ると、次のような問題点が目につく。
○ 堂々とした動きが見られず、恥ずかしそうに動いている。
○ 動きが小さく、指先や足などの動きがほとんど意識されていない。
○ グループの動きづくりがうまく進まず、積極的に動こうとしない。
また、特に気にかかるのは、「一人動きでは自分のイメージ通りに踊れて楽しいが、グループ表現になると自分のイメージや動きが生かされず、あまりおもしろくない」という児童が多いことである。
(2) 表現運動によせる願い
本研究では、このような児童の実態に着目して、次のような願いをかかげ、その具体的な実践のあり方を考えていくことにした。
○ 表現の楽しさ(特にグループ表現における楽しさ)や喜びを十分に味わわせ、表現は楽しいものであるということを実感させたい。
○ 自分の表したいものを、恥ずかしがらずに堂々と体全体を意識した動きで、積極的に表現できるようにしたい。
(3) 問題の所在と解決の見通し
前述の児童の問題点は、次の二つの課題に集約できる。
○ 一人ひとりのイメージや動きをどう生かすか。
○ 豊かな身体表現力をどのようにして育てるか。
前者については、児童の心情面をしっかり把握し、その子の「よさ」を引き出し・伸ばすという考えに立ち、その子に応じた学習を進めるとともに、動きづくりの工夫を図る必要がある。
後者については、児童の動きをより的確に評価することが求められる。そのためには、児童の自己評価を中心とし、そこに相互評価や教師の評価を積極的に試み、動きづくりと評価が一体となった学習が展開されなくてはならない。
2 主題についてのとらえ方…略
3 めざす児童像…略
二 研究の構想
1 研究の視点・見通し・内容
《視点1)》個性を生かす指導
個のイメージの「よさ」に注目し、それを認め、引き出しながら動きづくりを工夫していけば、その子なりの表現ができるであろう。
(1) イメージを引き出す題材設定
(2) イメージを動きにつなげるカードの工夫
(3) 個の動きを生かすグループの動きづくり
《視点2)》評価の工夫
動きづくりと自己評価、相互評価や教師の評価が一体化すれば、自分のイメージと動きとのずれや問題点に気づき、その子なりの動きが高まるであろう。
(1) VTRを活用した自己評価
(2) カードによる相互評価
(3) 適切な支援に結びつく教師の評価
2 研究計画…略
三 研究の実際
1 実践の概要
実践一では、児童の自由な発想から出されたイメージをそのまま表現題として設定することで、その子のよさを引き出すとともに、それをグループ表現の中までどう生かしていくかということを課題とした。
実践二では、はじめに鋭い瞬発的な動きを高め、その動きから表現題を見つけさせることで、高まった動きでの表現ができることを課題とした。そして、実践一、二とも動きづくりに自己評価と相互評価を位置づけ、評価を中心とした流れで学習が進められるようにした。
2 授業の実際
(1) イメージづくりの段階
1) 一人ひとりの表現題の設定場面
実践一では、まず全く範囲を限定せず児童が表してみたい表現題を調
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