教育福島0192号(1996年(H08)01月)-025page

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抜大会出場などを果たし、県の中心的存在となった。

平成五年より「ふくしま国体」へ向けて、県北、県南地区中心に、国体選手候補者を中学校より募った。本校中心の県内六校(郡北工、安積、福島、福島東、福島南、相馬)から構成する県選抜少年男子ソフトボールチームがスタート。私も監督として、アドバイザーコーチの先生の指導のもと、選手の意識改革、キャッチボールから入る基本技術習得の強化に力を入れた。

二年目は、毎月の第二、第四の週休を利用して県外遠征を積極的に実施、全国各地の強豪チームの胸をかり実践経験を積んだ。これが実を結び、愛知国体では初めての国体監督として準優勝し、選手も私も「ふくしま国体」へ向けての大きな自信となった。

そして、平成七年十月十五日、初戦、開始式直後のオープニングゲーム。一投一打に沸き上がる歓声の中で初戦をものにし、地元で勝つ事の感激を知った。続く準々決勝秋田戦も順当に勝ち進み、準決勝は、四国の強豪香川県。終始互角の試合展開の苦しい試合であったが、少ないチャンスを生かし、三対一で決勝進出を決めた。大会最終日、強豪埼玉県との決勝戦、埼玉県三点リード、七回裏福島の攻撃、無死満塁のチャンスに場内が沸く。逆転サヨナラに望みをかけたが、一点に留まり涙をのんだ。しかし、選手たちの胸には全力を出し切ったという満足感があふれていた。

私自身、「ふくしま国体」を振り返ってみると、競技期間の四日間というものは、一日一日がいつもの倍以上に長く感じられ、不安とプレッシャーと緊張の日々であった。何度となく逃げ出したいと思った。その度に、私をここまで支えてくれたのは、今まで協力してくれたコーチングスタッフであり、選手であり、関係者と県民の皆様のおかげであることを胸に刻み、頑張る勇気を持った。

第五十回という節目の記念すべき地元国体に、監督として参加できたことは、人生の中で大変貴重な経験であった。現在は、「これからが、福島県にとって本当の強化が始まる」と心を引き締めている。最後に、選手諸君、幾多の感動と思い出をありがとう。心より感謝している。

(県立郡山北工業高等学校実習講師)

 

土に魅せられて

甲賀京子

 

ちを繰り返すばかりである。手の中でまわる粘土はわたしの心を受け入れない。

 

一日の安らぎを求めて、床に着いたのだろう、近所の明りも一つ、ひとつ消え始めたところ、我家の作業場のロクロはいつもと変わらない音で回り始める。「だめだ」「よしもう一度」「今日もだめか」舌打ちを繰り返すばかりである。手の中でまわる粘土はわたしの心を受け入れない。

わたしは焼き物を始めて三年目になるが、今だに粘土遊びの状態である。いや粘土に遊ばれているのかも知れない。粘土は正直で、少しでも気を抜いたり妥協したりすると、思うような形にならない。陶芸はそれぞれの工程に技術が要求されるので、難しさを乗り超える喜びと、創造の楽しみが味わえて興味は深まるばかりである。

作品は乾燥を十分に行い、薪で約十日間、火を絶やすことなく焼き続けるのである。一つの工程でも手抜きをすれば、作品は窯の中でひび割れや、変形、爆発などで周囲の作品をも犠牲にしてしまう。どの作品にも慎重さが必要なのである。窯の中の温度が千度を越えると、炎はオレンジ色から乳白色に変わり、神秘的な世界が広がるのである。それは汚れのない、まさに神の世界のようであり、心を引き寄せる不思議な魅力を持っている。そして、しばらくの沈黙のあと、作品はそれぞれの個性ある姿を見せてくれる。

初めての窯出しの時は、その日が待ち遠しく胸がときめいたのを覚えている。それらには、振り向かれもしない野に咲く花が挿してある。素朴な花器に生かされ、我家に光を放ちている。

土の素朴さに触れ一つ一つの難しさに挑戦し、作業に没頭する中で心があらわれ、夢中になれる素直な自分の世界がそこにはある。

職業がら「陶芸」と「生徒」を結びつけて考えてしまうのであるが、土の性質を知り、技能を高め、心を込めて制作にあたることによって、愛着心のわく作品が出来ると同じように、生徒一人ひとりをよく知り、指導技術を高め、心を込めて生徒に接すれば、心の通じ合う人間関係が芽ばえ、それが将来大きな枝葉を広げてくれるものと思う。

人生のうち、最も感受性の強い中

 

 

 


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