教育福島0192号(1996年(H08)01月)-026page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
学生に、創造への喜びを、焼き物を通して教えたいものである。
土のよさ
引きだせるのか
我が技術
一日の教育活動も終り、夜の静けさにつつまれるころ、今日もロクロは、無心に回り続けるのである。
(中島村立中島中学校教諭)
水ぞうきん
上杉辰男
![]()
ずっと以前、部活動の指導に熱中し、身も心も大半をバスケットボールに賭けていた頃の話です。
その頃練習に使用していた体育館は、小さくて古く、床は歪んでおり、すき間からよく校庭の砂が入ってきました。体育館が砂やほこりで汚れてくると床が滑ってしまい、ストップやダッシュ、リバウンドの争いと激しく動くバスケットボールの練習には大変危険でした。生徒たちは、県大会での優勝を目標に少しでも向上しようと必死でしたから、練習中の衝突や転倒はよく起こり、生傷がたえませんでした。ですから、コート整備には大変気を遣いました。床はいつもきれいで安定した状態でなければ活動を始めることはできませんでした。それは寒さの厳しい冬でも同様であり、ほこりや砂をとるために水ぞうきんを固くしぼり、拭きとることをよく行いました。早朝、水に手を入れると冷たくて、冷たさが頭のてっぺんに抜けるような日でも生徒たちはみんなで床を磨き、それから練習を始めたものです。
そんな中に、Aさんがいました。身長は低く、運動能力も特に優れている訳でもなく、数多くいる部員の中であまり目立たない存在でした。しかし、彼女はこのつらい作業を黙々と続け、あの凍るように冷たい水ぞうきんを気にかけることもなく、何度も何度も洗い出し、人の分まで磨いているのです。他の部員の倍も働くので、バケツでぞうきんを洗う手は青っ赤で痛々しそうでした。でも、顔は優しくほほ笑んで、つらさをみじんも見せませんでした。彼女の手を抜かない、それでいて心のこもったぞうきんがけに目を奪われてしまいました。私は彼女の何とも言えない心の温かさにふれ、感動してしまったのです。
人の心の豊かさに気づくのは、ほんの一瞬です。しかし、その一瞬こそが人に深い感動を与え、その後の人間関係を作っていくのです。彼女が結婚し子どもができた今も、家族共々長く付きあわせていただいています。人と人とのつながりは、心のふれあい、心の温かさを感じるところから生まれてくるものなのでしょう。決して、年が若いから、と言ったそんな次元で測るものではない、と言うことを教えられた気がします。
![]()
『一期一会』
彼女とのひとときの出会いから学んだことばです。
(県中教育事務所指導主事)
熱中と若さで完全燃焼
秋山了
![]()
平成七年の春、私の教員生活が始まった。初出勤の日の朝は、小雪がちらついていた。何もかもが初めてのことだったので、寒さと緊張のため体の震えが止まらなかったように記憶している。でも、理想とヤル気はいっぱいだったので、三年一組をT・Tで担任してもらうと言われた時は、少々がっかりした。「えっ!一人で担任じゃないの?」と。今、振り返ると教師の大変さを知らないただの怖い物知らずだったという思い
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |