教育福島0192号(1996年(H08)01月)-034page

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特集2

生涯学習とボランティア

生涯学習課

 

べき四つの推進課題の一つとしてボランティア活動の支援・推進を挙げている。

 

平成四年七月、「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」と題して出された国の生涯学習審議会答申の中には、本答申の骨格となる、当面取り組むべき四つの推進課題の一つとしてボランティア活動の支援・推進を挙げている。

ちなみに他の三つの課題は次のようなものである。

○社会人を対象としたリカレント教育の推進

○青少年の学校外活動の充実について

○現代的課題に関する学習機会の充実について

本答申におけるボランティアに関する論述は、その時点でのボランティアをめぐる状況や実態、また今後目指すべき方向性、さらに課題解決のための方策などについて、およそ考え得るすべてが網羅されていると言って過言ではない。答申の時点から三年経過している現在ではあるが、その的確な分析と提言は依然新鮮さを失っていない。

次に、本答申中の生涯学習とボランティアの関係記述部分を掲げる。

 

◎生涯学習とボランティア活動

生涯学習は、人々が、自発的意思に基づいて生涯にわたって行うことを基本とするもので、意図的・組織的な学習活動として行われるだけでなく、人々の様々な活動の中で行われるものであり、幅広い範囲にわたっている。

ボランティア活動は、個人の自由意思に基づき、その技能や時間等を進んで提供し、社会に貢献することであり、ボランテイア活動の基本的理念は、自発(自由意思)性、無償(無給)性、公共(公益)性、先駆(開発、発展)性にあるとする考え方が一般的である。

このような生涯学習とボランティア活動との関連は、次の三つの視点からとらえることができる。

○第一は、ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現につながる生涯学習となるという視点。

○第二は、ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための学習として生涯学習があり、学習の成果を生かし、学習を深める実践としてボランティア活動があるという視点。

○第三は、人々の生涯学習を支援するボランティア活動によって、生涯学習の振興が一層図られるという視点である。

ボランティア活動は、このように生涯学習との密接な関連を有するとともに、その活動は、現代社会における諸課題を背景として行われるものであることから、豊かで活力ある社会を築き、生涯学習社会の形成を進める上で重要な役割を持つ。そのため、あらゆる層の人々が学習の成果をボランティア活動の中で生かすことができる環境の整備を図ることが必要である。

 

ボランティア活動の意義

 

以上、生涯学習とボランティア活動との関係について見てきたが、審議会は、ボランティア活動の意義について次のように説いている。

 

◎ボランティア活動の意義

ボランティア活動の領域は、幅広く日常の生活のあらゆる側面に及んでおり、例えば、地域の持つ教育機能を高めることや、高齢化社会への対応、豊かで潤いのある地域社会の形成に欠かせないものである。そのためには、子供から高齢者まですべての人々が、それぞれの立場や能力に応じて、ボランティア活動に参加することが重要である。

特に、青少年期においては、身近な社会に積極的にかかわる態度を培い、自らの役割を見いだす上で、その教育的意義は大きい。

これまでの我が国のボランティア活動は、個人の自主性を重んじる欧米と異なり、地域社会との密着性と、ある程度の強制や義務感がなければ進まないという傾向が見られた。

歴史的には、近隣の人同士が世話をし合うといった地縁的な活動があり、さらに、民間団体の社会福祉運動、奉仕活動、社会教育活動などが行われてきた。

昭和四十年前後から「ボランティア」という言葉が普及し始め、ボランティアによる活動を支援するための組織づくりが民間で始められた。

昭和四十六年の社会教育審議会答

 

 

 


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