教育福島0192号(1996年(H08)01月)-035page

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申において、地域における連帯意識の形成との関連でボランティア活動が注目され、その後、生きがいや充実感という視点から、臨時教育審議会において指摘された。

生涯学習の基盤整備の視点から、中教審の平成二年の答申においてもその重要性が指摘されている。

 

ボランティア活動の現状と課題

 

このことについて、答申は現状について二項目、さらに課題とに整理して論じている。

 

◎ボランティア活動の現状

ボランティア活動は、個人の主体的な活動が基礎となるものであり、その状況を網羅することは難しいが、

(一) 社会福祉施設や在宅福祉サービス等、社会福祉の分野におけるボランティアが多い。

(二) 社会教育施設(公民館、図書館、博物館、青少年・婦人教育施設等)、スポーツ・文化施設、学校等において活動している人々がいる。

(三) 社会教育やスポーツ・文化関係団体等においても、活動あるいは活動を支援する事業を実施している。

(四) 専門的技術を持った人々による海外での活動や、青少年非行防止、自然環境保護活動等も行われている。

(五) 多忙な職業人や高齢者など、様々な人々が活動に参加する動きが出てきた。

(六) 企業において、社会貢献や勤労者の自己実現を目指した活動やその支援を行う事例が見られるようになった。〔企業市民の発想〕

地域団体、労働組合でも同様の動き。

(七) 関係団体が連携して、地域における活動を推進するための組織を検討するなどの取り組みも見られる。

 

◎ボランティア活動に関する学習機会の現状

このことについては、意識啓発、資質・能力の向上を図るため、活動希望者、活動者、リーダー、施設職員、教員等、あらゆる人々を対象に行政や民間団体等により幅広く提供されている。

学校においては、児童生徒に勤労の尊さや社会奉仕の精神を培う体験的な活動として、道徳や特別活動を中心に、ボランティア活動にかかわる指導が行われている。

 

◎ボランティア活動の支援・推進にむけての課題

このことについては、次の六項目の指摘と提言がなされている。

(一) ボランティア活動をめぐる社会的文化的風土づくり

ボランティア活動は即ち福祉・慈善活動といった一般の限定された認識や消極的な意識が根強いが、それを改め、生涯を通じて、あらゆる人々が、様々なボランティア活動に取り組むことができる社会的文化的風土づくりが重要であること。

そのためには、家庭・学校・社会それぞれの教育を通して、ボランティアに関する基礎的な理解を深め、社会参加の精神を培う学習を充実させる必要があること。

(二) ボランティア層の拡大と活動の場の開発

ともすると主婦を中心とした活動者が多かった現実があったが、今後あらゆる人々が、自然に楽しく活動を行えるような条件を整えること。

そのため、ボランティアについての基礎的な学習機会充実や学習の成果と本人の能力を生かすための活動の場の開発が課題であること。

また行政とかかわる活動の場合、行政側と活動者側の、立場・活動についての正しい認識を持つこと。

ボランティア活動を行政の補助的なものとみなす弊害や問題があった。

(三) 情報の提供と相談体制の整備充実、連携・協力の推進

活動希望者と、活動を受け入れる側のニーズや実態を適切に把握し、活動の円滑さと充実を図るための望ましい情報提供と相談体制の整備が必要。また、活動者、関係団体、企業、行政など関係者の連携・協力と相互の情報交換の推進が必要なこと。

(四) 事故等への対応と過剰負担軽減のための支援

ボランティア活動中の事故等により、責任や補償が問題になる場合がある。責任を明確にして活動が行われるような方策が必要であること。

また、ボランティア活動の無償性の理念を堅持しつつも、過剰な負担を個人に強いることを避けて、活動が継続されるようにする方策が必要であること。

(五) 企業における課題

ボランティア活動が勤労者の自己実現を支援する意義を理解して、企業が自ら、地域の一員としての役割を十分踏まえた積極的な対応を行うことが期待されること。

 

◎評価に関する課題

ボランティア活動に対する評価については多様な考えがあるが、何らかの評価を行うことがボランティア活動の発展につながるという観点から、自発性、無償性等の理念を考慮しながら評価の在り方を検討する必要があること。

 

ボランティア活動の支援・推進のための充実・振興方策

 

答申は、具体的な方策を掲げる。要約すると、次のようになる。

 

◎ボランティア活動に関する学習機会の拡充

(一) 活動希望者について、ボランテ

 

 

 


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