教育福島0192号(1996年(H08)01月)-049page

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博物館ノート

「オンバサマ」

女性が妊娠してから無事出産するまでのあいだに、お産が軽く楽にすむように祈願する習俗は今も昔も変わりなく行われています。

安産を祈願する神仏は実にさまざまで、現在でも多くの寺社から安産のお札やお守りが出されています。安産の守り神のなかでも一般的によく知られていますのは子安地蔵と子安観音です。県内でも地蔵や観音はもちろん多くの神仏が安産祈願の対象とされてきました。信仰の広さの違いはありますが、いわき市四倉浜志津の山の神、鹿島町の男山八幡神社、福島市立子山の篠葉沢稲荷神社などもよく知られています。

このような安産祈願の対象となる神仏の中でも、会津地方に特徴的にみられるのがオンバサマです。オンバサマは境を守るカミ、あるいは子どもを守ってくれるカミと考えられています。猪苗代町の関脇のオンバサマヘはかなり広い範囲から安産祈願にお詣りする人の姿がみられ、その他にも金曲、伯父ヶ倉、大原などもよく知られています。さらには河東町や山都町、西会津町など会津地方の市町村に広くみられます。

これら神仏への安産祈願は、妊娠中にお詣りするだけでなく、無事お産がすんだ後にはお礼詣りするのが一般的になっています。博物館に展示されているオンバサマは、会津若松市内の長福寺のものの複製です。七月一日のお日市には、長福寺のオンバサマに安産祈願に訪れる人が多く、お札と腹帯を請けて帰る姿が見受けられます。

お日市にオンバサマにお詣りする人々(会津若松市・長福寺)

お日市にオンバサマにお詣りする人々(会津若松市・長福寺)

長福寺のオンバサマ(複製)

長福寺のオンバサマ(複製)


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