教育福島0193号(1996年(H08)02月)-028page

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特集3

特殊学級の指導の充実

養護教育課

 

一 はじめに

 

特殊学級の教育は、通常の学級と比べ少人数での学級編制を行うとともに、一人一人の児童生徒の心身の障害の状態や特性等に応じて具体的な目標を設定し、適切な指導内容・方法を選定し、効果的な指導が行われる必要がある。

しかし、特殊学級の経営や指導に関しては様々な課題が出てきており、特殊学級における教育の一層の改善・充実に取り組まなければならない。

 

二 特殊学級の現状と課題

 

1 入級児童生徒数の減少

特殊学級の入級児童生徒数が減少し、一学級三人以下の学級が増えつつある。これに伴って、集団でのダイナミックな活動を展開しにくくなっている。さらに、児童生徒の社会性の育成からも対人関係に関する問題を解決する場面や状況などを生み出しにくくなっている。

2 児童生徒の障害の重度化、多様化

就学について保護者の同意が得られなかったり、盲・聾・養護学校が地域に設置されていないことなどから適正な就学指導が困難となり、特殊学級入級児童生徒の障害の程度が重度化、多様化しており、指導が難しくなっている。

 

三 特殊学級の指導の充実に向けて

 

特殊学級の指導領域は、小学校や中学校で行っている各教科、道徳、特別活動に加え、養護・訓練という障害の改善・克服に関する領域と、各教科や領域を合わせた合科・統合した指導がある。

視覚や聴覚に障害のある児童生徒には養護・訓練が、精神薄弱教育では合科・統合の形態が主たる指導形態になっている。

1 領域・教科を合わせた指導

精神発達が未分化な児童生徒にとって、合科・統合した総合的な学習は適合しやすく、効果的であることや特殊学級集団内の年齢差や発達段階の違いを生かした指導ができることから、従前より大切にされてきた指導形態である。この指導形態には、日常生活の指導、遊びの指導、生活単元学習、作業学習等がある。

児童生徒の生活に即した実際的な活動は、児童生徒が見通しと期待をもって生き生きと取り組むことにつながる。教師は、児童生徒自身が首尾良く活動に取り組めるよう、適切な援助をしたり、共に活動することが大切になる。

2 個に応じた指導

特殊学級における授業は、同一教材による一斉指導という方法では、個々の児童生徒の課題に応じた指導は困難である。個々の児童生徒に何を目標とし、どのような教材・教具を用いて目標を達成させようとするかを明確にした個別指導計画を準備し指導に当たることが大切である。

3 交流学習

特殊学級の少人数化に伴い、地域社会や校内の通常の学級との連携を図って社会や友達とのかかわりを育てたり、学校行事や他校との合同行事等に積極的に参加し、自主性や社会性を伸ばす指導の工夫が大切である。

多くの特殊学級では、体育や音楽等技能教科を中心に、通常の学級との交流の授業実践等が行われている。

また、地域の養護学校や特殊学級との合同授業を通して交流を図り、成果を上げている実践も見られる。

4 校内での特殊学級の位置づけ

特殊学級が学校の中で孤立したり、特別扱いされたりすることなく、学校の一学級として位置づけられるためには、学校管理者の理解をはじめ、学校全体の協力体制が必要である。

これから、精神薄弱特殊学級において児童の意欲を大切にし教科との関連を図りながら展開した生活単元学習の実践例と、個別の指導目標を設定し望ましい変容が見られた指導事例について紹介する。

 

 

 


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