教育福島0193号(1996年(H08)02月)-029page

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教科との関連を図り興味・関心を高める生活単元学習の指導の工夫

−物語「ぼうけんたから島」−

福島市立福島第三小学校

森口香代

 

一 学級の実態と課題

 

本学級には一年生から六年生までの能力の差が大きく、個性豊かな七名が在籍している。それぞれが自立していくためには、「生活面、学習面での能力の育成」と「友達や人とのかかわり方(コミュニケーション)の習得」という二つの課題がある。

その課題解決のため、教科との関連を図りながら一人一人の興味・関心を大切にして総合的な指導を試みている。以下はその一例である。

 

二 実践例

 

1 教材の自作

「楽しいお話が書けたよ」(光村三年下)を参考にして、一枚の「地図」を手がかりとして想像を働かせ、物語に浸ることができるような話「ぼうけんたから島」を児童と共に創作し、劇化した。

・挿し絵やあらすじは同じにし、児童の実態に応じて文面に難易の差をつけ、絵カードと紙芝居を含めて五種類作成した。

・登場人物は外見が恐ろしそうであっても、実はやさしく親切な人、という設定にした。これは、自閉症やこだわりを持つ児童がいるためと、創作劇で役を演じる時、人物に対しての不信感を抱かせないためである。

・物語の各場面では、個人の課題に結びつくような工夫をした。挨拶の言葉や受け答えの会話文を多くしたり、発音が苦手なラ行音を練習できるように、おまじない『ららら、るるる…』などを入れたりした。物語を繰り返し読むこと、楽しみながら練習することによって習得させていきたいと考えたからである。

2 指導計画

大道具や紙芝居の一部を図画工作科で取り扱い、身体表現は体育科や音楽科で深化し、劇化した物語は「合同おたのしみ会」で発表する、というように構想した。(資料)

3 一人一人の能力を高める指導

・物語をせりふ化する中で、個々の課題と配役を考え、それに合った短冊カードを作成した。発声や発音を正しくするためのせりふ、読みこなせる長さ、暗記できる長さのせりふ等、文の内容を吟味して作った。

・自分から進んで学習しようという気持ちを持たせるため毎時の授業の中で「がんばるせりふ」を選ばせ、自分のせりふの中からうまく言いたい言葉や文を一〜二選び、目印となる「がんばリボン」を付けて繰り返し練習させるようにした。自分の役割と課題が明確になり、練習により励むことができた。

 

(資料) 全体の構想と授業の流れ(○の数字は時数)

 

 

 

 

 


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