教育福島0193号(1996年(H08)02月)-032page

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研究実践

学校事故防止に関する実践的研究事業

 

1) 「災害班」の実践研究について

本県の学校管理下における児童生徒の事故発生は増加傾向にあり、小学校では休憩時間帯、中学校・高等学校では部活動における時間帯の事故が多発しております。

そのような状況下、平成五年度から二年間にわたり、日本体育・学校健康センターの委嘱を受け、この事業を実施してまいりました。

事業の大筋は、事故防止のための仮説を設定し、事故発生の原因の実態を学級担任や児童生徒の側からアンケート調査を行い、それを基に事故防止のための具体的な配慮事項を見出すこととして取り組みました。

○一年目は事故防止の現状把握のための実態調査とそれに基づく具体的な事故防止のための配慮事項を決定した。

○二年目は、一年目に決定した担任教師、部活動の顧問・担当教師の指導すべき事項について継続指導をお願いし、指導前と指導後の変容を比較した。

※調査対象

・福島市内の小学校四十六校の五年生及び同校の学級担任、保健主事

・福島市内の中学校二十校の二年生及び同校の運動部顧問教師

・福島市内の高等学校十校の二学年の運動部加入者及び顧問教師

1 休憩時間の事故防止のために学級担任に継続して指導していただいた主な事項

○休憩時の過ごし方等の明示。

○体憩時に気を付けるべき具体的事項の明示。

○短学活等での事故防止についての時間の確保。(抜粋の問3参照)

○けが防止について学級活動等での積極的な取り上げ。(抜粋の問4参照)

○けが防止に関する児童係活動の位置付けとその活性化。(抜粋の問5参照)

○児童同士、積極的に注意し合う雰囲気の醸成。

2 部活動の事故防止のために顧問・担当教諭に継続的に指導していただいた主な事項

○体調不良等の場合、顧問、主将に申告

○準備・整理運動の確実な実施。

○練習後のけが、体調の善し悪しの確認。(抜粋の問6参照)

○部員自身による練習場や器具等の安全点検の実施。

○けが防止等について部活動終了後などのミーティングへの位置付け。

○体調不良等で休む場合の申し出にくい状況の除去。

3 この事業を実施して

今回の実践研究では、期間も短く意識の高揚がどれだけ実践に移され、事故が減少したかまでは調査できませんでしたが、今後もさらに学級担任、部活動顧問等がリーダーシップを発揮し継続的に指導を展開すれば確実に事故は減少するという確信を得ました。特に学級活動の場に事故防止についての話題を積極的に取り上げていくと同時に部活動においては、生徒自身の安全に関する知識の無さや体調不良等でも申し出にくい雰囲気等があれば、けがを増加させたり、更にけがや病気を悪化させる原因になりかねないことから、生徒の心身の健全な発達という面からも、事故防止についてはきめ細かに継続して指導に当たる必要があることを痛感しました。

 

2) 「交通班」の実践研究について

本県における中学生・高校生の自転車走行中の交通事故による死傷者数は多く、年々増加の傾向にあります。

こうした自転車事故がどのようにして起きているのかを発生状況の調査と事故防止への取り組み状況調査を実施し、調査結果を関連付けながら検討することにより、事故の発生原因を分析しました。

さらに、自転車事故防止に必要な指導事項として、これからの自転車に関する交通安全教育充実のために必要な事項を、成果・課題としてまとめました。

1 自転車交通事故発生原因の分析

今回実施した「自転車交通事故発生状況調査」、「自転車交通事故防止への取組み状況調査」の結果から事故発生の原因を分析し考察をしました。

(1) 多い交差点での事故

事故の約四十五%は、交差点での安全不確認や一時不停止、信号無視等により発生している。

(2) 中学生と高校生では違う自転車利用

中学生は家庭に帰ってからの事故が多く、高校生は通学時の事故が多い。

(3) 安易に考えられている安全運転義務違反

 

 

 


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