教育福島0194号(1996年(H08)04月)-017page

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(2) 指導援助の実際

アンケート結果を踏まえて学級全体への指導援助を行った。また、不適応生徒に対しては、個別の指導援助も行った。

◎学級全体への指導援助

構成的グループ・エンカウンターの中から生徒の自己理解、他者理解を深めることをねらいとして、各校種ごとに表2のような演習を実践した。表中の(分割)とは、短学活などを利用して数回に分けて実施したものである。

実践に当たっては、次のことに配慮した。小学校では言語表現能力が未熟であることを踏まえ、学年の発達段階に応じた様々な表現方法を取り入れた。また、中学校・高等学校では、質問内容を生徒自身にも設定させた。

さらに演習場面では、順応の生徒に焦点を当て、演習中に声をかけたり発表の機会を意図的に設定したりするなど、できる限り順応の生徒を生かすよう努めた。

◎不適応の生徒への個別的な指導援助

不適応の生徒に対して、存在感を実感できるように一日に一回は必ず声をかけるようにするとともに、主として放課後に個別の相談を実施した。また、友達のよさを見つけさせる働きかけも実施した。

 

構成的グループ・エンカウンター 小学校「あなたはだあれ」

 

構成的グループ・エンカウンター 小学校「あなたはだあれ」

 

三 第一年次の研究のまとめ

 

図1は 中学校のアンケート結果から学級平均を算出し、事前と事後を比較したグラフである。このグラフからは、全般的に向上していることが分かる。この傾向は、中学校以外の校種においても同様であった。

この中の8)と9)は本年度の研究で注目した項目である。

 

図1 事前・事後の比較(学級平均:−事前、−事後)

 

関心や所属感が高まり、学級の好ましい人間関係づくりが進んだことが分かる。

 

このことから、構成的グループ・エンカウンターを中心とした指導援助によって、生徒一人一人が自己理解や他者理解を深めることができ、集団への関心や所属感が高まり、学級の好ましい人間関係づくりが進んだことが分かる。

なお、学級担任が順応の生徒に意図的な指導援助を行った結果、従前より生徒一人一人に目が向くようになったことも本研究の大きな成果である。

 

表2 各校種ごとに実践した演習名

 

校種学年 時間帯 演習名

小学校3年 (分割) わたしはだあれ

(分割) あなたへのメッセージ

体育 ミラーリング ・サークルミラー

道徳 いいとこ見つけた

学活 どちらを選ぶ

小学校5年 (分割) 後ろの目

(分割) テレパシー

学活 私はだあれ

体育 表現DOING

学活 あなたはだあれ

中学校1年 学活 信頼の目隠し歩き

(分割) 白旗を立てる

学活 私の自画像はこんな人

(分割) 価値のランクづけ

学活 どちらを選ぶ

高等学校2年 HR 理想の先生

(分割) 君の人生HOWマッチ

HR わたしはワタシよ

(分割) 価値のランクづけ

HR アサーション(自己主張)入門

 

 

 


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