教育福島0194号(1996年(H08)04月)-021page

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随想

日々の想い

ずいそう

 

ひらめきも努力があって

佐久間善一

 

構想する時、自分なりに苦しみながら努力することが大切であると考えている。

 

今、教育現場では、いじめや不登校といった難しい問題がクローズアップされ、心の教育の充実がさけばれている。これらの問題は、未熟な私でも、地道に努力を重ね対処していくうちにその子に合ったすばらしい手が生みだせるものと考えられる。壁にぶつかってどうしようもないような時、また、子供たちが楽しく生き生きとする授業を構想する時、自分なりに苦しみながら努力することが大切であると考えている。

しかしながら、発想の貧困な私は、どのように思考したらよいか毎日悩むのである。

つい先日、将棋の羽生善治氏が七冠を達成して話題になった。若い棋士がいかんなく実力を発揮し、タイトルをすべてとるという快挙をやってのけたのである。

インタビューの中で、羽生善治氏は、「良い手がひらめくんです。それを、裏づけするために考えるのです。」という意味の発言があった。雑誌や新聞各社も「天才的なひらめきを持つ右脳型棋士」と書きたてた。「どうして、できるのだろう。」と疑問をもった。そこで、右脳と左脳のことについて本を読んでみた。

左脳には、言語中枢がある。主に言語をあやつり、文字や数字を読み取り、文章を書く。また、複雑な事柄を単純な要素に細分化し、秩序をたてて「理詰め」で思考する。反対に、右脳では、感覚的なパワーを発揮する。絵画を鑑賞し音楽を楽しみ物事を「カン、ヒラメキ」といった直感でとらえ、大局的な視野に立って全体的に把握しようとする。具体的には、パターン認識力・図解認識力・イメージ力である。

このように、左脳は、基本的な人間に必要な能力であり、それを更に飛躍的に伸ばすために、必要不可欠なのが右脳であることが分かった。天才棋士と呼ばれる人たちは努力を積み重ねるうちに、右脳の働きに磨きがかかり、私たちでは考え付かない次の一手を打つのである。

将棋と教育とは一緒にできないが、毎日の努力があってこそ卓越した発想を生み出せると知ったわけである。

素晴らしい先輩方からのご指導を受けながら、更に努力を続けることで右脳を磨き、一人一人の子供たちに即した心の教育ができるようにしたい。また、子供たちが喜ぶ授業を行えるように努力を続けたいと考えている。(福島市立野田小学校教諭)

 

心のオアシス

廣坂美佐子

 

年間養護教諭として勤務したあと、初めて小学校に赴任することになりました。

 

中学生を相手に十年間養護教諭として勤務したあと、初めて小学校に赴任することになりました。

見上げるくらい大きくたくましかった中学生に比べ、小学生があまりにも小さく見えるのには驚きました。緊張感と不安は、体育館いっぱいに響く子供たちの大きな歌声によってほぐれ、私の心は明るく、温かくなってきました。

「先生。ほら、春を見つけたよ」

畦道に咲く草花を、小さな両手いっぱいに摘んで保健室にも春を運んでくれた女の子たちや全校児童が走る業間体育など、小さな子供たちに囲まれての学校生活は、見るもの触れるものすべてが新鮮で感激でした。

休み時間には、保健室が子供たち

 

 

 


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