教育福島0194号(1996年(H08)04月)-023page
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教師としての喜び
穐本哲哉
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好きな保健体育と陸上競技を勉強し指導する機会を与えられたこと。その上毎月決まった日に給料がいただけること。陸上競技を続けるための一般企業に就職したものの突然の不況のあおりで職を失った私にとって、正直なところ、この二つが教師になって最初の喜びであった。
赴任時に生徒会新聞の自己紹介で「若さを武器にがんばる」と記した。陸上競技部顧問を任され、若気の至りで部結成時に「駅伝で京都を狙う」と豪語したら生徒に笑われた。その生徒たちが秋には「京都」を合い言葉に県大会三位、次の年には県大会二位、東北大会六位という素晴らしい成績を残し、京都行きの夢は実現できなかったものの、なにものにも代え難い感動を与えてくれた。部活の生徒に限らず本校の生徒の一般的な傾向として、先を予測してできそうもないことにはあまり積極的には動こうとしないところがあるが、そんな生徒たちが向上心を持って前向きな姿勢で懸命に取り組んでくれたことが大きな喜びであった。
三年目の昨年からクラス担任を任されたが、ふくしま国体に関わる出張のため不在が多くなり、学年の先生方にバックアップしていただく機会が多くなってしまったが、何よりも生徒たちに助けられ、そのおかげで何の問題もなく大変な時期を乗り切ることができた。それに加えて私事の結婚に際しては、クラスと部の生徒たちが駆けつけ歌あり踊りありの大奮闘で祝福してくれ、新たな人生のスタートを思い出深く演出してくれた。今、クラス担任の仕事を通して新たな喜びを味わっている。
結婚を境に、食生活の充実により体重が増加している反面、若さという武器の効力が減退してきているのを肌で感じる今日この頃、これからが勝負と思っている。クラス担任をするようになってから、生徒にいろいろと小言を言うことが苦にならなくなってきているが、言い易くなればなるほど生徒との距離が遠のいていくような気がしてならない。若さに代わる武器は「経験」であろうが、それに頼りきるがために教師の視点からしか物事が捉えられなくなってしまうのではないかと一抹の不安を感じる。精神的な「若さ」をいつまでも持ち続ける努力をし、また生徒の立場に立って考え生徒に接するという教育の原点を大切にしていきたい。そして、「経験」という武器、財産を身につけながら、これからもより多くの喜びを体験していきたい。
(福島県立福島女子高等学校教諭)
児童や地域の実態に基づく教育
根本康浩
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昨年一年間は、いろいろな意味で「児童や地域の実態に基づく」教育活動の重要性を考えさせられました。
その一つは、共同研究を涌しての子供たちの変容でした。私たち高野小の研究は、一昨年は郡山市の研究物展で「吾峰会奨励賞」を、さらに昨年は「博報賞」という全国表彰の栄に輝きました。本校の児童は、豊かな自然に恵まれた農村地域で育ち、大変素直で、優しい気持ちを持っています。しかし、発表力は乏しいものでした。このような実態から出発した本校の実践研究には、自分の考えを自信を持って表現できる子供にしたいという、私たち教職員全ての願いが込められていました。研究授業だけではなく、日常の授業、朝の会や帰りの会などで、目の前の子供たちの実態に基づいて課題を明らかにし、解決に向けて計画的に取り組まれている先生方に刺激されつつ、転勤してきたばかりの私も研究に取り組みました。私の学級は特定の児童だけが発表する傾向にありましたので、私はどの子も発表できるようにしたいと考えていろいろと実践してきました。その結果、私の学級の子供たちも、自分の考えを友達に分かってもらおうと、一人一人が進んで発表する姿が多く見られるようになりました。
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