教育福島0195号(1996年(H08)06月)-022page

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作業学習

「相馬の馬っこ」づくり

相馬市立養護学校

 

一 本校における作業学習について

 

本校中学部の作業学習は、いろいろな作業を体験することにより、働くことに関心を持ち、進んで仕事に参加できるようにすることを目標に行っています。

また、指導方針として次のようなことに努めています。

○季節により学部全員で行う作業と男女の特性を生かした作業を取り入れる。

○生徒一人一人の作業能力の実態を踏まえ、作業の基礎的な内容を弾力的に発展させる。

○将来の就労や授産施設及び更生施設での生活に求められる基本的な技能や態度を育てる内容とする。

 

二 作業種目の選定条件

 

作業種目を選定するに当たっては、次のことについて考慮します。

(1) 成長期に応じて、手足や全身を機能させる活動がバランスよく組み込まれていること。

(2) 地域社会の生活や行事と結びつき、共に生活をする人々に受け入れられるものであること。

(3) 設備や材料費が作業結果に負担として残らないこと。

(4) 将来の生活に生かすことができるような学習内容を含むこと。

 

三 作業学習「馬っこ」づくり

 

中学部では週六時間を作業学習の時間にあて、全員で「馬っこ」づくりや農園の作業に、また、男女分かれて飾り物や足拭きマットづくり等に取り組んでいます。

ここでは、そのうちの「馬っこ」づくりを紹介します。

 

1 「相馬の馬っこ」の由来

これは、昭和四十七年本校が創立して間もないころに、当時の職員であった斎藤公明先生が、相馬地方で出土した馬の埴輪を模して、民芸品づくりを作業学習に取り入れたものです。

相馬地方は、戦国の世から、小国でありながら、大国の狭間にあって明治維新まで領地を守り抜いた勇壮な武将に恵まれた地で、その伝統は相馬野馬追いとして、現在も受け継がれています。

このため、当地方の人々は、馬を愛し絵馬や埴輪として、大願成就の縁起のために、後世に残してきたものと思われます。したがって、これらの馬を型どった「相馬の馬っこ」は民芸品として、地元の人はもとより観光客にも喜ばれています。

 

2 「馬っこ」づくりの指導目標

 

(1) 土砕きや型おこし作業を通して、土に親しみながら簡単な処理ができるようにする。

(2) 作業の工程を分担したり、力を合わせて作業することにより、共同して作業する意識を高める。

(3) 手先や全身で行う作業を組み合わせながら、機能の向上や成長期の発達を図る。

(4) 作業の準備や後始末、作業あいさつなどを通して、望ましい作業態度や生活習慣を身につけさせる。

(5) 実習販売を実施することにより、売ることの喜びを体験的に感得し、作業に対する意識の高揚を図る。

(6) 民芸品として質の高いものを製作することにより、作る喜びや成就感を味わいながら、意欲的に取り組むことができるようにする。

 

3 「馬っこ」の製作工程

「馬っこ」製作は、図のような流れで進めています。

 

4 作業内容

 

4 作業内容

(1) 板磨き(表面加工)を中心とした木工作業

刃物、工具、機械を使用して木材加工ができるようになるためには、木材の扱いに慣れ、関心を持つことが大切です。

板磨きは、障害の程度に関係なく、どの生徒にも容易に取り組むことが

 

 

 


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