教育福島0195号(1996年(H08)06月)-032page
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作業学習「メモ帳の製作」
福島市立蓬莢中学校
作田洋一
一 はじめに
作業学習は、働く力ないしは、生活する力を高めることにより、進んで社会生活に参加していく能力を培うことを目標としています。
そのために作業学習は、生活単元学習とともに、精神薄弱児の一般的な学習上の特性を考慮して、実際の生活場面で、より体験度の高い具体的な内容の学習を、作業活動を中心として展開するものです。
学習の展開に当たっては、次の点を考慮しながら仕事(学習)を続けさせたいと考えています。
○興味・関心を持続させる。
○与えられた仕事に責任を持たせる。
○みんなと一緒に協力させる。
○技能の向上を図る。
○作る喜びを感じさせる。
また、配慮することとしては、題材(製品)の選定に留意し、計画的な指導を図ること。生徒と教師が一緒になって、材料の準備から製作、販売、利益の使途までの生産活動の一連の学習を工夫することなどが大切であると考えています。
二 学級の実態
1 作業学習の時間数
○週当たり−六時間
2 生徒の実態
氏名 学年 性別 IQ 生徒の特徴
A 1 男 48 WISC-R 自閉的傾向が見られる。働きかけがないと一人遊びが多い。手先は器用である。手首や腕などに必要以上に力が入る。
B 2 男 43 WISC-R 考えや行動は幼稚な面が見られるが、生活力は高いものがある。手先は器用だが、飽きやすく声かけや目当ての確認等が必要である。
C 2 女 30 田中ビネー 手先が不器用で、仕事の要領、段取りの理解が難しいので、作業手順を分かりやすくし、補助具の使用が必要である。
三 指導の基本構想
一で述べたねらいを達成するために、次の点に努力しています。
(1) 一般の人に喜んで使ってもらえる(買ってもらえる)完成度の高い製品の製作を目指す。
(2) 短い期間の中で数多く製作できる。
(3) 身近にある材料、一般的に使用されている道具、工具で製作することができる。
(4) 製作工程を細かに分け、作業内容を単純化する。
(5) 生徒の実態を事前に調査し、それぞれの生徒に合った作業内容を準備する。
(6) 作業内容に困難さが見られる生徒には、補助具を使用させる。
(7) 生徒自身で技能の向上が把握できるようにする。
(8) 生徒自身に販売を経験させる。
(9) 利益の使途を生徒と教師が一緒に考える。
(10) 一人一人に対して適時に賞賛を与え、満足感を与えると同時に学習意欲の高揚を図る。
以上のことをもとに製品の開発や作業計画を作成し、工夫が見られる授業を展開しようと心がけています。
四 作業工程を細分化した例
(表1による)
五 生徒の取り組みの例
1 生徒Aの取り組みの様子
Aは、リモコン立ての製作で、ベルトグラインダーを使用しての切削に取り組みました。
上面、底面、側面の切削では、上から製品を押さえる時、親指と他の指で同じ力で押さえることや力の加減が困難であり、削りすぎた
表1 メモ帳の作業工程
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