教育福島0195号(1996年(H08)06月)-033page

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り、直角に削れないことがありました。しかし、その後、底面を削る時においては、同じ場所を長い時間削らせないで「一、二、…五」と数えさせながら、右側面、裏面、左側面、正面をグラインダーの支え板にあてがい、何回も繰り返し削らせることによって、ほとんど直角に削ることができました。また、削りすぎることもなくなり、指導の成果をみることができました。

正面を斜めに削るところは、生徒の実態を考えて、補助具を使用させました。これによって、同じ角度で、同じ厚さのものを短時間にたくさん削ることができました。

 

生徒Aの取り組み

 

生徒Aの取り組み

 

2 生徒Bの取り組みの様子

Bは、手先が器用で作業手順や要領の理解が早く、教師の数少ない指示や指導と何回かの練習で、ほとんどの工程をこなすことができます。

和紙はりで気泡が入った時には、「もし、あなたがお客さんだったらどうする?」とか「喜んで買ってくれるかな?」などと問いかけて、時間が掛かってもよいからていねいに、きれいに作ることを常に問いかけ、指導を繰り返しました。

その後、作業が終わると「先生、見てください。」「今日はうまくできたよ。」と、自分で仕上がりを確かめながら進めることができるようになりました。

 

3 生徒Cの取り組みの様子

Cは、メモ帳の表紙作りをしました。Cの実態から、接着剤を台紙に均一に塗ることや、接着剤を塗った台紙を表紙の和紙の中央にはることができませんでした。

そこで、接着剤を均一に塗るために、接着剤の濃さを調節させたり、刷毛の毛の部分の長さを変えさせたりし、一様に塗られているかどうかの確かめの方法を指導することによって、ほぼ満足できるまでになりました。また、和紙の中央に台紙をはることについては、補助具を使用させました。

さらに、和紙に台紙をはった後すぐに返し、気泡やしわが生じないように数唱の練習も兼ねて、一から五十、五十から百を数えさせて、手のひらでこすることも教えました。

 

生徒Cの取り組み

 

生徒Cの取り組み

 

六 終わりに

 

この他に、花瓶や人形の下に敷くたたみ台、お絞り置き、ペン立て、小物入れ等を製作してきました。

蓬莱中学校に赴任した初年度は、作業学習に関して、使いたい、作らせたいと思った材料、必要とする道具、工具が足りなかったため、費用の稔出に悩みました。しかし、現在は、作業益金が使用できるようになって、余裕が出てきています。

学校やPTAの理解と協力を得て、PTAバザーの時に会場の一部を借用して、生徒が実際に製品の販売を行っています。このことから、保護者からの人気も高く、製作品の多くを求めていただいており、一般の保護者への啓もうを図るねらいも達成しているものと思っています。

生徒たちは、毎年行われている福島市特殊教育研究会の合同作品展の見学を兼ねた社会見学や買い物学習、昼食会に行けることを楽しみにしています。また、展示即売会に製品を出品することをめあての一つとして製作に一層励んでいます。

 

作業学習の作品

 

作業学習の作品

 

 

 


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