教育福島0196号(1996年(H08)07月)-027page
慣れないながらも初任者研修を進めていくにつれ、「一期一会」という言葉を意識した。
「初任者研修マニュアル」により指導は効率的に進められたが、私が新採用教員だった時に指導を受けた内容も指導教員としての仕事を遂行する上で役に立った。
もう十年前となるが、当時は今のような初任者研修のシステムではなかった。本当に何も分らなかった私は随分失敗を繰り返したが、その時の教務主任だったI先生やK教頭先生など、いろいろな先生方に教員としての基本的な姿勢から専門的なことまで、たくさんのことを教わった。校長先生には実際に授業をして見せていただいた。それが今でも私の授業の基本となっている。
指導教員として、その当時教えていただいたことやI先生から言われた言葉など、そっくりそのまま教えることもあった。このようにして次の世代へ受け継がれていくのかということが実感できた。また、幸運にもすばらしい先生方とお会いできたことに改めて感謝したいと思う。新採用の先生とも同じような出会いとなるかもしれないので、初任者研修という機会を大切にして指導教員としてできるだけのことはしたいものだと思った。
初任者研修を進める上では、あまり対象教員の負担にならないように配慮しながら、やる気をより高めていくよう心がけた。また、教員としての資質や能力にも優れ、指導力が日々向上していく姿が見られ成果が現れたことは大変うれしく思った。
指導教員としての一年間を終えて振り返ってみると、私自身が変容した部分がある。日ごろ何気なく思っていたことも、その大切さを再認識したことがあった。また、対象教員に教えながら、教師としての基本的な子供への接し方や教えるということの原点を見つめ直すことができた。専科の授業においても、子供たち一人一人の気持ちを今までよりも深く考えて取り組めるようになった。
そういう意味では、私にとってとても勉強になった一年であった。この貴重な経験を生かし、初心にかえって研修に励みたいと思う。
(川内村立川内第一小学校教諭)
生徒会
−援助する教育
大塚由美
「先生の教育方針は何ですか」
本校に赴任して初めての家庭訪問で開口一番に問われた一言でした。驚きと共に熱心なご両親の姿に感動した事を覚えています。
新米教師のころ、「後ろ姿で教育」ということをよく耳にし、それを目標に頑張っていた事がなつかしく思い出されます。清掃も朝自習も給食当番も常に生徒の先頭に立つことでそれを実践しているつもりでいました。
しかし、そんなふうに頑張れば頑張るほど空回りすることも多く、「今どきの子供」にこの言葉は通用しないような気がしてきました。もちろん、言葉の解釈が正しかったとは言えませんが。
そんな私の教育方針?が大きく変化したのは生徒会活動の指導をさせていただくようになってからでした。
思えば、私自身の中学時代に最も大きな感動を与えてくれたのは生徒会活動でした。幾度となく職員室に足を運び、ようやく実現した文化祭での「生徒会の時間」の一こま。たった一時間だったけれど、その企画と運営のために全校生が結集したなつかしい日々。果してその一時間をどう使ったのかは記憶にありませんが、あの時の成就感・充実感は今も心に深く刻みこまれています。
時代は移り、今どきの子供たちにもあの感動を与えてやりたい。そんな思いが私を生徒会室に導きます。生徒会活動は学校生活の基盤であり、その充実が学校生活の充実につながるものと思われます。それだけにその指導にも熱が入ります。
現在本校では専門委員会の活動を通して一人一役で学校行事を運営しようと取り組んでいます。そこで見られる今どきの子供はすごいパワーを持っています。恵まれた環境にいるからこそ、自分で考え自分で築くという事に飢えているのかも知れません。そんな生徒の持つ限りない力と伸びる芽。ぜひ生徒会活動を土壌に伸ばしてあげたいものです。
しかし、それは先に立って引っ張ってはちぎれてしまい、後ろから無理に押してもつぶれてしまうデリケートな芽です。私たち教師にできることは愛情をこめて見守ること。光と水と栄養を与えること。そして曲