教育福島0196号(1996年(H08)07月)-029page

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確立されてきました。これも今までお世話になった先生方に恵まれたおかげです。私がバレーボールを通して学んだことは非常に多く、これらは人生のあらゆる場面で役に立ち、私にとって貴重な財産だと思います。特に集団スポーツの中での個人の役割や責任、取り組む姿勢など、人間にとって大切なことは何かを教えて頂きました。

全国的に歴史と伝統のあるチームには、必ず練習などに独特の約束ごと、習慣があり、それがある普遍の意味と価値を持ち、規範となって確立されております。指導者はバレーボールを通して期待される人間づくりを目指しており、互いに教え合い、且つ、切磋琢磨し合いながら人間的に成長することに重きを置くことは、大変素晴らしいことだと思います。私も教員の世界に入った以上、自分を磨き、期待される素晴らしい人間を育てていきたいと思います。

現在、学校では、いじめや登校拒否などの問題も多く見られ、複雑化した社会の中で生徒たちは悩み、苦しんでいます。クラスや学校での集団生活もままならない生徒が増えているようです。さらには、偏差値偏重の風潮の中で部活動離れも顕著に表れてきています。中学、高校期という人生で最も大切な時期にもかかわらず、これらによって心身の鍛練の機会が奪われてしまうことは非常に残念に思われます。この世の中は全て集団生活で成り立っています。生徒の心をたくましく育ててやる機会をできる限り多く作ってあげることが我々教員の使命ではないかと思います。

私はこれからもバレーボールの指導はもちろん、全ての教育活動の中で期待される人間づくりに向けて、一生懸命に取り組んで行きたいと思っております。

(県立湖南高等学校教諭)

 

大内ドーム

酒井宏

 

「ヤッター」

 

「ヤッター」

「ウワァー、すごいぞ、新記録だ」

昨年の町内水泳大会での子供たちの歓声です。保護者も教師も鳥肌が立つほど感動していました。

私の勤務する下郷町立江川小学校大内分校は、山村寒冷豪雪地です。五年前までは、プールに入る期間が一か月あるかないかで、子供たちは十メートル泳げればよいほう、水に入ることさえ嫌がる子も多くいました。このような状況をなんとかしたいと思っていたのは、教師だけではありません。保護者や地域の方も真剣でした。

そして、ついに五年前画期的なアイデアが実現されたのです。「大内ドーム」の完成です。保護者との話し合いの末考え出されたのは、ドームつきプールです。りんどうの栽培で使うビニールハウスからヒントを得て、プール全体をビニールで覆い、快適なコンディションを作ってあげれば、子供たちは水泳に生き生きと取り組むはずです。そう決まると行動も早く、保護者の方々が子供の喜ぶ姿を思い浮べながら、力を合わせ一つ一つパイプを組み立て、手作りで完成させたのです。このドームができたことで、子供たちにとっては、六月初めから九月の終りまで、室温三十度、水温二十五度以上の環境の中で練習をすることができるようになったのです。

昨年の町内小学校水泳大会では、五・六年生七名全員が五十メートルを完泳し、そのうち六名が三位以内に入賞、一名が大会新で優勝したのです。子供たちや保護者の喜びは、たいへんなものでした。

 

思いやりの結晶 手造りドーム

思いやりの結晶 手造りドーム

 

子供たちは、この「大内ドーム」で、進んでがんばることを学び、がんばったことが報われる喜びを体験し、それが自信となって、新たな意欲へと向かっています。

今年もまた、彼らの季節がやってきました。「大内ドーム」には、今日も子供たちの歓声が響き、水しぶきが上がっています。

(下郷町立江川小学校大内分校教諭)

 

 

 


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