教育福島0197号(1996年(H08)09月)-009page
「指導計画を立案する」指導の過程
(文部省・中学校進路指導資料第2分冊より抜粋)
現在、指摘されている進路指導推進上の課題として次の点があげられる。
ア 進路指導計画が実現可能なものになっているか。
立案されていても、日常の指導に役立てられていなかったり、計画どおりに実施されていなかったりする場合も見られる。
イ 校内の指導体制が確立されているか。
学級担任や進路指導主事の役割について一層の共通理解を図る必要がある。
ウ 進路先選定中心の指導になっていないか。
進路指導の本質である「生き方の指導」が十分になされていない場合が多い。
エ 進路指導についての評価が十分になされているか。
指導の経過や結果から生じる諸問題について省みられることが少なく、進路先決定に対する評価に留まっていることも見られる。
さらに、生徒の姿に見る特徴的な問題点として次の点があげられる。
ア 自分の興味・関心の方向性や能力・適性について十分理解していない。
職業生活や社会生活などの幅広い知識に基づく将来の生き方の多様性や選択の可能性についての理解が不十分なため、将来就きたい職業や活躍したい分野など、中学生にふさわしい将来の夢や希望、目的がなかなか持てない。
イ 将来の夢や希望が高まっていない。
何のために、何を上級学校で学ぶのかといった進学の意義や目的を理解できず、自分の進学したい上級学校等を明確にできない。
ウ 進学先選定が自分の判断によっていない。
目的が希薄なまま、教師や保護者が勧める高等学校等に進学するので、その後の生活に打ち込めるものを見出せず、学業不振や学校不適応に陥り、中途退学したり、学校外の生活にのみ楽しみを見出すなどして無為に過ごしたりするものも少なくない。
3 解決のための指導の充実
以上のような問題を解決するために、各学校においては自校の進路指導の在り方を再度見直し、指導の充実を図る必要がある。そのためには、指導に当たる教師自身が、進路指導とは、何のために、何を、どのように指導すべきものであるのかなど、そのあるべき姿についての理解を深めるとともに、自校の進路指導の問題点を明らかにして具体的な充実の視点を定める必要がある。
そこで、次のような視点を基本として指導を見直し、指導の充実を図る必要がある。
〈指導充実の基本的な視点〉
ア 学校選択の指導から生き方の指導
生徒が、将来の生き方について多様な選択が可能であることを理解し、自己の進路を探索できるよう指導・援助する。
イ 進学可能な学校の選択から進学したい学校の選択への指導
生徒が、将来の生き方に照らして、上級学校で学ぶ意義を理解し、目的を持って、進学したい学校を選択できるよう指導・援助する。
ウ 一〇〇%の合格可能性に基づく指導から生徒の意欲や努力を重視する指導
生徒が、具体的な志望校を選択するに当たっては、日頃の学習の成果等に基づいて助言し、志望の