教育福島0197号(1996年(H08)09月)-031page

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特集3

 

「生きる力を育む」

−特殊学級の共同学習−

 

養護教育課

 

一 はじめに

 

子供の数が減少していることやノーマライゼーションの思潮の中で、特殊学級の在籍児童生徒数が一学級三人以下の学級が増えつつあります。

これに伴って、個に応じたきめ細かい指導が期待される反面、集団でのダイナミックな活動の展開が難しく、集団による社会性や自主性の育成に一層考慮した指導の工夫が必要になっています。

 

二 交流学習や合同学習による授業の改善

 

こうした状況をふまえ、通常の学級との交流活動を効果的に進めたり、地域の他校の特殊学級との合同の学習を積極的に進めることが大切です。

次に、校内の通常学級や地区の特殊学級との連携を図り、学級の枠を超えて交流を図っている実践の例を紹介します。

 

1 校内における交流学習の例

 

1) 「生活科」や「生活単元学習」等の学習をとおした交流

単元「お店やさん」でいろいろな店を開き、売り手や買い手になって展開する学習の例があります。

これは、教科的な学習内容の習得ばかりでなく、買い手と売り手とのあいさつや応対などのやりとりをとおして、社会性を伸長させることができます。

2) 給食等の日常生活の中での交流

特殊学級に協力学級の数人がグループで訪問し、一緒に給食を食べることが楽しみになっているという例があります。

教師が意図的に設定するのでなく、楽しい活動を共有することによって、日常生活の中で自然に触れ合いを深めることができます。

3) 「学習発表会」や「運動会」等学校行事の中での交流

校内の学習発表会で日頃の学習の成果を披露し、多くの保護者から激励の声をいただいたり、運動会での役割をとおして、積極的に交流が行われている例があります。

特殊学級の児童生徒の積極的な参加によって、行事そのものも内容に幅のある密度の濃い展開をすることができます。

その他多くの特殊学級では、体育や音楽等の教科を中心に、通常学級との交流が行われています。

 

2 地域における合同学習の側

 

地域の特殊学級がいくつか集まって合同で取り組んでいる例があります。

合同学習の目的は、他校の特殊学級の児童生徒と活動をともにすることにより、人と人とのかかわり方を学んだり、将来の社会参加・自立に必要な集団生活を営む上での規則や約束ごとなど、社会生活に欠かせない適応力を身につけさせたりすることにあります。

1) 合同学習の具体的意義(精神薄弱特殊学級教育課程編成の手引きより)

○児童生徒相互が協力し合ったり、一緒に行動したりすることにより好ましい人間関係を育むことができる。

○大きな集団の中での活動をとおし、自信を持たせたり、成就感を味わわせたりすることができる。

○特殊学級担任がアイディアを出し合い、新しい発想に基づく計画を立てることができる。

○小集団では見られない児童生徒のよさや特性などを発見し、指導の手がかりを得ることができる。

○大きな集団での様子を保護者に見てもらい、理解を深めてもらうことができる。

2) 合同学習実施上の配慮事項

合同学習の実施に当たっては、次の点に配慮することが大切です。

○児童生徒一人一人の目標や実態に即した計画を担当者間で十分話し合い、共通理解をして推進する。

○学習内容としては、具体的、実際的な活動を多く取り入れること。

次に、各地区で多くの先生方の努力と協力を得ながら、長い間継続して行われている「合同宿泊学習」の実践例を紹介します。

 

 

 


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