教育福島0198号(1996年(H08)10月)-021page

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3)養護教育

 

「出会い、ふれあい、学び合い」

 

−養護教育地域交流推進事業−

本事業は、心身に障害を有する児童生徒(小・中・高等部)の社会性育成と養護教育に対する地域社会の方々の理解を深めることにより、心身障害児を含めた様々な人々が共に生活できる豊かで潤いに満ちた社会環境の整備を促進することを目的に、平成三年度から実施しています。

心身障害児は、その障害のゆえにともすれば活動範囲が制限され、社会性の育成が阻害される傾向にあります。そこで、障害を有しない小・中学校の児童生徒や地域社会の人々と活動を共にする機会を積極的に設けることは、児童生徒の経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てる上で重要であり、社会参加・自立を育む上でも大きな意義を持っています。

平成七・八年度は、県立石川養護学校を実施対象校に指定し、協力校として石川小学校、石川中学校及び石川町猫啼地区を協力地域として実施しています。また、県立石川養護学校は、文部省の心身障害児交流活動地域推進研究校としても指定され、交流活動の実践研究も合わせて実施しています。

では、これまでの取り組みについて、紹介します。

交流活動は、小・中学部(高等部未設置)のそれぞれの児童生徒が、地域の長寿会や婦人学級の方々、また、石川小・中学校の児童生徒との日常的な活動を中心に実施しています。また、運動会や、石養まつりなどの学校行事の際には、猫啼婦人学級、連合婦人会、老人会、地域の高校生、そして地域の方々を含めた多数の人々との「ふれあいとをとおして、児童生徒や養護教育について知っていただく機会としています。

小学部及び中学部のこれまでの取り組みについて紹介します。

<小学部の実践から>

「敬老の日おめでとうございます」

石川地区の敬老会で、授業の中で作った手作りのうちわを贈り、お祝いのことばを述べ、喜ばれました。

「合同なかよし会」

地区のお年寄り五十五人と一緒に歌を歌ったり、踊ったりしました。また、器楽演奏でキラキラ星などを披露しました。

「石尊カーニバル」

石川小学校で行われた行事に参加し、宝さがし、お化け屋敷、人間ボーリングなどのゲームを一緒に楽しみました。

☆児童の変容☆

低学年の児童は、大きな集団活動にスムーズに参加できるようになったり、高学年の児童は、学校外に出かけて行った際にマナーも身に付いてきたりと変化が見られるようになってきています。

 

長寿会の晋さんと力を合わせてもちつき大会

<中学部の実践から>

 

<中学部の実践から>

「手すきはがきを作ろう」

猫啼婦人学級の方々と手すきはがきづくりを行い、作業後会食をしながら交流を深めました。

「いもに会をしよう」

猫啼婦人学級の方々に豚汁の作り方を習いながら一緒に豚汁を作り、いもに会をしました。

「やきものを作ろう」

講師を招いて陶芸について婦人学級の方々と一緒に学んだ後、協力して作品を制作しました。

「授業参観」

石川中学校の生徒が中学部の授業を参観して理解を深めました。

 

☆生徒の変容☆

さまざまな活動をとおして、生徒と婦人学級の方々の間で会話が増え、手をつないだり、一緒に活動したりすることが多くなってきています。

「お楽しみ会」

小学部・中学部の児童生徒全員と長寿会、猫時婦人学級の方々と一緒に餅をつき、調理をして、会食しました。この活動では、これまで交流を重ねてきたこともあり、交流団体からの積極的な働きかけが多く、児童生徒と自然に手をつないだり、抱きかかえたりする姿が見られました。

☆参加者からの感想☆

これまでの日常交流や行事交流に参加された方々から、「子どもたちが明るく、いきいきと活動している姿に感動をおぼえた」「やればできるんですね。これからも協力したい」「子どもたちと、とても楽しく過ごせた。家族や友達にも話しをしたい」等の感想が寄せられています。

これまでの取り組みについて簡単に紹介しましたが、着実に児童生徒の変容が見られてきていますし、交流相手校の児童生徒、地域の方々の意識の変容も見られてきています。本年度は、昨年度の反省を踏まえて、さらに充実した交流活動を計画し実践しているところです。

 

 

 


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