教育福島0198号(1996年(H08)10月)-023page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

随想

日々の想い

ずいそう

 

ミュージカル鑑賞

小泉ヒロ子

 

でよく知っていましたが、ストーリーを知らないまま帝国劇場に向かいました。

 

夏休みのある日、先輩の先生のお誘いで、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」を鑑賞してきました。タイトルは有名でよく知っていましたが、ストーリーを知らないまま帝国劇場に向かいました。

主役、デブィエは、西田敏行、わが福島県出身の俳優です。どうしても吉宗のイメージが強く、ミュージカルの姿など想像もつきませんでしたが、さすがプロ。歌と踊りも彼の個性にマッチしていて、永年森繁久輔が演じていた主役同様、すばらしい演技でした。

この「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、今から九十年前のロシアの寒村、アナテフカが舞台です。主人公デブィエは貧しいが働き者、酪農を営むお人好しで信心深く楽天家。しっかり者の妻と五人の娘たち。伝統やしきたりに縛られながらも、仲睦まじく暮らしていくのです。

人間にとって普遍的なテーマ「何よりも強い家族の絆とその葛藤」が貫かれています。

私が、芸術鑑賞に興味を持ち始めたのは、三十代半ば、友達と共に演劇鑑賞会に参加してからです。しかし、出産、育児に追われ、ここ四、五年その参加もできないでいましたが、去年秋に仙台で行われた坂東王二郎の舞踊以来、また、興味が沸いてきました。

この「屋根の上のヴァイオリン弾き」で一番心に残った歌は、やはりクライマックスの場面「陽は昇りまた沈む」でした。

その一節、

″いつの日にか私たちも

陽は昇り、また沈み、時うつる

よろこび、悲しみをのせて

流れてゆく″

人生そのもの、人間本来の生きざまをみて感動し、劇場を後にしました。

教師として十八年間勤務してきましたが、プロとしての自覚や努力は、どんな職業も同じなのだと、改めて痛感しました。私もこれから教師としての本物をめざして、磨きをかけなければと自分に言い聞かせた夏の暑い一日でした。

今、次に楽しみにしている芸術鑑賞は、宮沢賢治生誕百年にちなんだ映画です。この秋、公開予定とか。二学期、諸行事で忙しい毎日になりそうですが、是非、芸術の秋にふさわしい″心の栄養″を蓄えていきたいものです。そして子供たちにも、その栄養を与えてあげたいと考えています。

(安達町立油井小学校教諭)

 

話す喜び

中村幸裕

 

まことに驚嘆すべきことで、おそらくこれに心を打たれぬ人はいないであろう。

 

子供が複雑なことばの体系を短期間に、しかも完全な形で習得しうるという事実は、まことに驚嘆すべきことで、おそらくこれに心を打たれぬ人はいないであろう。

彼らは、ほぼ五歳までにことばのもつ基本的なことは習得し終わっていて、しかも、それは、子供が特に言語の才能に恵まれていたからとか、親が特別に教えたからとか、家庭環境がよかったからとか、等々の理由とは全く無関係に、ただ子供が正常に発育さえしていれば、どの子供も等しく一歳半ぐらいの間に話し始め、五歳ぐらいまでには、大人とほぼ同じ程度に会話ができるように

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。