教育福島0198号(1996年(H08)10月)-040page

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教育ひと口メモ

著作権

 

一 著作権

 

著作権法で保護される著作権は、著作権者がその著作物を独占的に利用して利益(経済的利益に限らない点に注意)を受けることができる権利のことです。

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいい、具体的には小説・論文・音楽・絵画。映画・写真・プログラムなどとなっています。

これらの著作物を利用するためには著作権者の許諾を得る必要がありますが、著作権法は、著作物の公正、円滑な利用を図るために、著作権の制限について規定し、一定の場合に限り、著作権者の許諾がなくても、著作物を利用することを認めています。

著作権の制限に関していくつかを挙げると次のようなものがあります。

○私的使用のための複製(法王十条一項)

○図書館などにおける複製(法二十一条)

○学校その他の教育機関における複製(法三十五条)

○試験問題としての複製(法二十六条)

 

二 学校その他の教育機関における複製

 

学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)における複製利用の要件は、著作権法第二十五条の規定によれば、以下のようになっています。

1)複製を行う者は、教育機関において教育を担任するものであること。

2)教育担当者の授業の過程に供することを目的とするものであること。

3)範囲、部数は、必要と認められる限度にとどまること

4)複製が、著作物の種類・用途および複製の部数・態様に照らし、著作権者の利益を不当に害さないこと。

4)で特に留意したいのは、音楽の楽譜や市販のワークブックを教師が勝手に複製して児童・生徒に配布するといったことは認められていない点です。これらの教材は、そもそも児童・生徒の購入を期待して作られたものであり、もしそれを教師が一部だけ購入し、大量に複製して児童・生徒に配布して使用することになると、著作権者の経済的利益を不当に害することになるからです。

 

三 ビデオ教材と著作権

 

テレビ・ラジオの放送番組は公表された著作物と考えられることから、著作権法第二十五条に基づいて、先に述べた複製利用のための一定の条件の下に複製して、教材として授業に使用するのはさしつかえありません。

複製後の問題ですが、最初は教員自身の教材のために、適法に録音・録画し複製したものであっても、後日その複製を他人に譲渡したり貸与したりすることは、著作権者の許諾がないかぎり、複製物の目的外使用として禁止されているので注意を要します。複製したビデオ教材を学校図書館の備品として館内で利用者に見せたり、館外に貸し出したりするのも同様です。

放送番組の場合、著作権だけではなく、放送局などの放送事業者、実演家やレコード製作者の権利もありますが、著作権法第二十五条に定める条件で利用していれば、特段の問題は生じないとされています。

 

四 コンピュータ・プログラムと著作権

 

基本的には先の複製利用の要件を満たしていればさしつかえありませんが、コピーは個人的な使用のため万一にそなえてのバックアップコピーや翻案に必要なものしか認められておりませんので、教職員が自分用と言えどもいくつもコピーをとり、そのコピーを自由に使用することはできません。

 

五 文化祭等での利用

 

著作権法第二十八条一項は、「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、口述し、又は上映することができる。ただし、当該上演、演奏、口述又は上映について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」と規定し、営利を目的としないこと、観衆や聴衆から料金を受けないことを条件に、著作物の利用を認めています。

 

 

 


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