教育福島0198号(1996年(H08)10月)-050page

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ふるさと探訪

県指定重要無形民俗文化財

いわきのヤッチキ踊とサンヨー踊

ヤッチキ踊は、右手右足、左手左足を同時に振り動かすいわゆるナンバの動きダイナミックに跳びはね、腰を前に突き出すなど、きわめておおらかな踊りで、農村地帯の静的な盆踊りなどとは非常に性質が違い、山村らしいダイナミックな動きで、やや古代風でさえあります。

現在は大きな蒲踊りの形ですが、もとは小さな輪踊りか、男女二人が向かい合って踊る形であったといわれています。むしろ男女二人が歌詞を即興的に作って掛け合いで歌いながら踊る形が基本の◆歌(歌垣)であったと思われます。

戦前は鎮守の森や盆踊りなどでも踊られたといわれていますが、もとの中心的な踊りの機会は閼伽井(赤井)獄薬師の夏の大祭や二つ箭山の祭であったと思われます。

サンヨー踊りは、盆や祭のときなど夜を徹して踊られた踊りで、ヤッチキ踊りはテンポが速くダイナミックなためよく踊ることができず、ゆったりとしたサンヨー踊りを踊っては、その合間にヤッチキを踊ったと思われます。

◆垣は文献資料の上で有名な筑波山では、現在まったくその片鱗も見られないのに対して、いわき市でこれが伝えられているのはきわめて貴重であり、また芸能史的にも重要な位置を有し、サンヨー踊りはヤッチキ踊りとセットになっていたきわめて対照的な踊りであるとして平成八年三月二十二日付けで県指定重要無形民俗文化財に指定されました。

保護団体 いわきやつちきおどり保存会

所在地いわき市三和町上三破地区

県指定重要有形民俗文化財

県指定重要有形民俗文化財

蛯沢稲荷神社奉納絵馬地引大漁図

及び和船模型 一面、二隻

蛯沢稲荷神社は代々相馬藩主の崇敬を受け、いわきから相馬に至る浜通りの各地から大漁や航海安全の祈願に訪れるものが多く、この地方の漁民信仰を集めており、様々な奉納物があり、指定文化財はその一部です。

絵馬地引大漁図は、縦九六・八センチ、横一六六・八センチの大きさで、縦長の桐板:ハ枚をはぎ合わせて一枚の画面に仕立てて、地引網漁の様子が描かれ、明治七年一一八七四一の銘があります。登場人物は一〇〇名を越していますが、一人一人丁寧に描かれているほか、明治初年当時の地引き網漁の技法や漁獲物の取引や流通に関するものまで描かれています。

なお、絵師は高荒芳州です。

和船模型は二隻奉納されていますが、その一つは弁財船模型で千石船の十分の一と思われ、天明四年一一七八四一の銘があります。他の一つは鰹船模型で明治二〇年(一八九六)の銘があります。共に簡素ではありますが忠実に製作されております。

絵馬は当時の漁村の活動全体を理解する上で、和船模型は機械船導入以前の伝統的な大型船と手漕ぎ漁船の規模と構造、造船技術などを理解する上で貴重であるとして、平成八年三月二十二日付けで県指定重要有形民俗文化財に指定されました。

所有者蛯沢稲荷神社

所在地相馬郡小高町蛯沢字広畑一七五番地


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