教育福島0199号(1996年(H08)11月)-026page
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リコーダー担当のS先生は家でピーピーと練習を積み、打楽器担当のT先生は切れの良い音を出したいと音探しをするなど、指導陣の意気も高まってきました。私は、音楽も大事だが見せることも大切と、指揮者の衣装作りに励みました。それを見ていた女の子たちが「私たちに作らせて」と、さっさと持って行ってしまい、なんと冠まで作ってくれました。
練習途中から「お話を作って、曲をつなぐようにしよう名ハミングを入れよう岩もみじのお面を作ろう」と子供からどしどしアイディアが出され一つの大きな流れとなって動き出したのです。
二曲目の「もみじ」のハミングが聴こえてきます。一人一人が思い思いのもみじを作って、紅葉が頂上から裾野に下りてくる様子を表現しています。今までみたこともないようなすばらしく美しいもみじを見せてくれています。「ウワッ」と心が洗われる思いがします。
「四年生ってすごいね!センスが光ってる」といつも温かい言葉をかけて下さるF先生。また、ある時は「音楽を最後まで厳しく追究させるものね。絶対、妥協しないものね。ぼくだったらとっくにあきらめるのに。そして、子供たちはやり遂げてしまうんだから、いつも感心しているんですよ」そんなふうに見て下さる先生がいらっしゃる。
合唱の一曲を完成させるのに作曲者と同じように楽しみや苦労があり、懐しい曲を聴くと、完成までのはるかな道程を思い出します。一つのことに向かって力を合わせることのできる音楽に改めて感動するのです。
また、音楽会の季節が近づいてきます。次のドラマを楽しみに胸いっぱい新しい空気を吸い込んで、さあ、行きましょう。
(浪江町立幾世橋小学校教諭)
太極拳でリフレッシュ
矢部良子
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「七番A矢部選手」のコールで抱挙礼をし、マット上のA点に立つ。審判長の旗の合図を見て表演を開始した。以意導体、以意導気をひたすら念じて。静かな会場に自分の呼吸と鼓動のみが響きわたる。音楽も何もない。簡化二十四式太極挙を六分以内に演武終了しなければならない。六名の審判が前後左右から失点をカウントしている。
これは、福島県総合体育大会の太極挙Bの部(四十〜五十九歳)出場の様子です。終了後に告げられた得点が昨年より○・一五点高く、結果も第三位入賞となり「おめでとう。よくやったね」と自分をほめたい気分でしたが、反面、この年でこんな体験をするとは予想もできませんでした。私と太極挙との出合いは、同僚の養護教諭と一緒に健康体操として習いに通ったのがきっかけでした。一見緩やかで簡単そうなのに実際は違いました。身体の柔軟さと筋力の強さが必要だし、動作は切れ目なく複雑なので難しく全套路を覚えるのに二年位かかりました。さらに技能的に正確さが要求されると武術の心得のない私は「戦いたくないのに」と向上心を失いがちでした。表演となれば美的観点も加わり難しさも増してきます。しかし、現在においては、自分がやれる範囲で快く運動ができればよいと思っています。
昨年は、武術世界選手権大会がアメリカのボルチモア市であり、大会開幕式で集団演武をする機会に恵まれ感動しました。世界一を競う種々の武術を間近に見学したり、厳重な警備の会場にICカードを首にかけ自由な出入りを認められたのも初体験でした。身振りや表情、カタコトでの国際交流も楽しいものでした。
私にとって、太極挙は、心身のリフレッシュ効果と多くの人との交流の楽しみ、技能検定や資格試験などが、程よい励みになっています。特に、◆雀尾(ランチユエウエイ)(すずめの動き)の動作では胸前に出した手は相手の攻めを防ぎ、同時にその力をきく(相手の力を知る)意味をもちます。以意導体、以意導気などの四字熟語が多用されますが、これらは自己制御と理解することができるために特に好きなことばです。
障害児の障害は、学ぶ上での障害と考え、生徒の言動の上に「奇」や「問題」の字を冠しないように努めていくと、その生徒が欲していることをきくことができると思います。そして、生徒への適切な指導を探る時に、教師の自制がその条件整備の大切な一つになると思っています。英字やカタカナことばより古くさい響きかも知れませんが教育との共通点を見出すことがしばしばです。
(福島市立岳陽中学校教諭)
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