教育福島0200号(1997年(H09)01月)-014page
自ら文字を正しく整えて書こうとする意欲の育成をめざして
三春町立中妻小学校
一 主題の趣旨
書写は、日本の伝統文化であり、「読み、書き、そろばん」と言われるほどの基礎基本であるが、その指導法は未だに模倣的な「手習い」が主流である。
本校では、その書写学習に目を向け、新しい学力観に立ち課題解決学習能力や表現力の育成を図るために、「指導法の改善」と「個に応じた支援の在り方」を明らかにする方向で研究に取り組んだ。
二 主題設定の理由
(1)学校の教育目標から
「豊かな心をもち、よく考え、進んで表現できる心身ともにたくましく実践力のある児童の育成」を目標に掲げ、教育活動を行っている。
それを受け、自己実現の一つとして『文字』をとりあげ、一人一人が正しい文字や字形の美しさに気づき進んで表現できる児童の育成を目標にし、自ら学ぶ力の育成をめざした授業の創造を図りたい。
(2)児童の実態から
児童数百十七名。児童同士がお互いをよく知っているので、どの学年も和気あいあいとした雰囲気の中で学習している。
また、自分の考えや意見をみんなの前ではっきりと発表したり、友達の話に耳を傾けて聞いたりする習慣が身に付きつつある。
研究を進めるにあたり、児童の意識調査を行ったところ、次のような結果が出た。
1)書写の授業は楽しいと感じている児童はたくさんいるが、学年が進むにつれて、「字が上手に書けない」「めんどうくさい」「墨がこぼれる」などの理由から楽しくないという児童が増えてきている。
2)書写の学習については、どの児童も大切な時間だととらえており、理由としては、「大人になっても字を書くから」「下手だと恥ずかしいから」などをあげている。
3)「うまくなりたい」という願いに対して、具体的にどうすればよいかを考えている児童は全体の三割弱である。
このようなことから、「書写技術の向上」と「学び方の体得」を願って実践を進める。
(3)教育の今日的課題から
従来の教師中心の授業や上手に書くコツの技法伝授的な指導や手本の写しとりに終始する自習的な授業から脱却し革新しい学力観に基づいた指導法の改善を進める必要があると考えた。
書写の授業を通して、児童の興味や関心を大切にし、主体的な学習態度の育成を図るとともに学び方を身付けていく児童中心の授業をめざして主題を設定した。
三 研究の構想
(1)めざす児童の姿
1)自分のめあてをもって、粘り強く一生懸命練習に取り組む子
2)規準が分かり文字を正しく書く子
※『規準』とは、「文字のどこをどのように書くか」の観点や方法を明確にしたもの(資料1参照)
3)学習の見通しをもち、自ら文字を正しく書くための手順を決め、進んで学習に取り組む子
4)規準が分かり、自分と友達の作品を比べ、そのよさに気づく子
5)書写学習で身に付けた力を進んで生活に生かす子
(2)仮説
主題達成のために次の四つの観点から研究を進めた。
1)各学年の基礎・基本の内容及びその系統性について明らかにする。
2)自ら文字を整えて書くための手順や方法を発達段階に応じて工夫する。
3)自分が書いた文字を見つめ直すための評価の観点と方法を具体的に示す。
4)一人一人の書写力をとらえ、個