教育福島0200号(1997年(H09)01月)-017page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

自己の学習を振り返る場(自己評価・相互評価)を設けた。

評価の項目については、規準だけでなく態度や意欲面、そして姿勢についても取り上げ、単元全体が見える評価カードを作成した。

相互評価し合うことで、お互いのつまずきや作品のよさについて話し合ったり、情報を交換したりすることができた。

評価の場から、お互いを励ます雰囲気がうまれた。(資料6)

 

資料6

 

相互に評価し合う児童

 

相互に評価し合う児童

 

(4)「一人学び」を支える様々な資料や場の工夫を取り入れた授業

各学年の発達段階に応じて、児童主体の学習活動が展開できるように手だてを試みた。

1)自作ビデオ作り

指導のポイントになる筆の動きをじっくりと見せる方法として、ビデオを自作した。

児童は自分のつまずきや課題になるところを、何度も繰り返して見るなど、自主的に学習を進めるうえで効果的であった。また、共感的な態度で支援するのに役立った。

2)学習の場の工夫

正座して書きたいという児童の願いに応じ、低い机を準備した。背筋が伸び、筆をまっすぐに立てて書くことができた。

(5)座席表や書写カルテを作成し活用した授業

学習計画表に基づいた、「一人学習」が円滑に展開されるには、教師が、一人一人の学習状況や達成状況を把握する必要がある。

個々の児童への適切な支援ができるように、座席表に毎時間ごとの児童の学習の足跡を残した。その積み重ねから、児童の変容をとらえ、書写カルテを作成することで、適切な支援に役立った。

(6)朝の書写タイム(資料7)

毎週金曜日に、全校で書写学習に取り組む『書写タイム』を設定し、児童の主体的な学習活動を支援してきた。

低学年では、基本的な書写の学習(鉛筆の持ち方や姿勢)に気を付けて文字の練習に取り組んだ。中・高学年では、書写要素の基本点画(とめ・はね・はらいなど)の練習や自己の課題に向かい、練習方法を友達と相談しながら有効的に活用した。

短時間ではあるが、どの児童も楽しく意欲的に取り組んでいる。

 

資料7 児童の感想(書写タイムより)

 

五 研究の成果と今後の課題

 

五 研究の成果と今後の課題

○学習の見通しを持たせる場の設定により、『規準』への理解や意識が高まり、書写学習の基礎的・基本的な技能の定着が図られた。

○練習用紙の作成や種々の練習方法の選択を通して、自己の課題に飽きないで取り組むことができるようになり、字形に気をつけて書く児童が多くなった。

その結果、書写コンクール等において、よい成績をおさめることができた。

○評価活動の場を設定したことにより、「文字を見る目」が養われた。

また、友達のよさやがんばる姿に気づくきっかけとなり、人間関係をよくすることができた。

○座席表や書写カルテの記入により個別に支援ができ、一人一人に書写力を身に付けることができた。

本校の研究のねらいでもある新しい学力観に立った指導法の改善につながるとともに、自己実現が図られ、自信を持って積極的に学習に取り組む児童が多くなってきたことは、大きな成果である。今後は、他教科への波及を図っていきたい。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。