教育福島0200号(1997年(H09)01月)-032page

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きた。さらに、C子の発想から『劇・お米作り』が新たに展開した。子供と教師がシナリオを作り、主体的に練習した。体験をもとにしたシナリオなので一人一人の表現の仕方が大変ユニークで内容豊かであった。一つの教科の枠では見つけられない企画力・協力・創造性などを引き出し、子供が抱いたイネヘの思い、気付きを存分に表出させることができた。

『郵便局をひらこう』の例

晩秋までは、主に米作りを中心に地域の方の協力のもと、学習を展開してきた。初めは受け身的であった子供たちだが、沢山の経験を通す中で人とかかわる楽しさと『自信』をつけていった。

次単元の郵便局をひらこうでは、郵便ごっこ等の体験を通して、そこで働く人たちの工夫や苦労に気付かせるのがねらいであった。しかし、思いや願いから、ごっこ遊びだけにとどまらなかった。子供たちは、分校に月に一度だけ来る「あさかの号(市立移動図書館)」の人たちに手紙を送り、次第に交流を深めていった。「先生、あさかの号の人たちから返事がきたよ。」と可愛い便せんや写真を友だちと見せ合う。教室の中でのごっこ遊びにとどまらず、他に対象を求め、働きかける子供の姿に驚かされた。本物の手紙のやりとりで、そのよさやかかわる人の苦労に気付いていった。その後、あさかの号職員との交流も深まり、子供の願いから、図書館見学に発展した。

 

(2)地域と学校を結ぶコーディネーターによる協力的な指導(TT)

 

(2)地域と学校を結ぶコーディネーターによる協力的な指導(TT)

「子供たちに地域の豊かさや私たちの苦労をわかってほしい」と快く承諾し、協力的指導の体制が整う。牛の世話、米作り(全体)を通し、積極的に子供の活動を支えていただく、特に米作りの経験がない教師にとっては、大変心強い見方であった。

イネは成長が軌道に乗ると手間がかからなくなる。ある時、どんなかかわり方がよいか頭を痛め、ある老婆に相談したところ、「先生、かかしを作るべ。」とよい案を授けてくださった。そのアイディアを生かし、成長への思いを込めて、ユニークなかかし作りが始まった。

経験に培われた知識には教師の太刀打ちできないものがある。専門的知識が必要な場では遺憾なく発揮していただいた。やがて子供は地域の人とのかかわり方を身に付けると同時に、意欲付けられ、めあてを明確にして活動することができるようになっていった。地域の方に授業の中に入っていただくことは、そこで生まれ育ち、これからもそこで生活するであろう子供に対する地域の願いに気付かせることになる。また自然の大きさや逞しい生活力、生活の知恵、人々の協力に気付かせることにもなり、自ら考え、判断し、行動できる子供の育成の大きな力となるにちがいないと実践を通して痛感した。

(3)教師の支援と評価の一体化を図る。

教師の見取りと支援は全単元を通して行ってきた。物的・人的・情意的支援はもとより、本実践では環境構成的支援の充実を図った。

1)連続・発展性を持たせ、豊かな活動に高める環境構成的支援

米作りは長期的なスパンで活動を展開したため、思いや願いを膨らませ、豊かな活動に高めるため「ミニ水田」と「活動スナップの掲示」を行った。水田は分校のすぐそばに設けたが、直接触る・見る活動ができるように、教室前に「ミニ水田」を設けた。このことにより、子供とイネの距離が近くなり、観察の意欲を高め、活動がしやすくなった。

 

を自由に書き込めるようにした。これらの支援を充実した結果、図画工作科との

 

次に種蒔きからの活動スナップを常時掲示した。ここには、子供の内面を見取り、一人一人に応じた支援を行うために、「つぶやき」を自由に書き込めるようにした。これらの支援を充実した結果、図画工作科との

 

 

 


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