教育福島0202号(1997年(H09)04月)-008page

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特集1

 

道徳教育の充実

・豊かな心を育む道徳教育の充実

義務教育課

 

豊かな心を育む道徳教育の充実

 

学校における道徳教育は、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を具体的な生活の中に生かし、望ましい日本人を育成するため、その基盤とする道徳性を養うことを目標にしている。そして、児童生徒の人間として調和のとれた発達を図り、社会の変化に主体的に対応できる人間を育成するうえで重要な意味をもつものである。

学校教育においては、これらの道徳の目標や意義をふまえ、新しい学力観に立った道徳教育が推進されているが、いじめ問題や人権問題は、今なお重要な課題となっており、その対応に向けて、思いやりや人間尊重、生命尊重にかかわる指導をいかに充実させていくかなど、子供たちの心にかかわる教育の推進が強く望まれている。

特に、いじめ問題への対応は緊急の課題であり、その解消に努めるうえで、新しい学力観に立つ道徳教育を一層充実させ、日常の生活や学習活動における豊かな体験と関連をもたせた道徳の時間の指導の充実により、道徳的価値への自覚を図り、よりよい生き方を自ら実践できるようにしていくことが極めて重要である。

また、これからの道徳教育においては、児童生徒一人一人が道徳的価値にかかわって人間としての在り方や生き方について自分の考えをしっかりともち、人間理解、他者理解、自己理解を深め、心を耕しながら自分のよさを生かして豊かな自己実現が図られるような力を身につける場が重要になってくる。

各学校では、これらの重要性を認識し、自校の道徳教育上の課題解決を図るとともに、豊かな心を育てるために、体験的な活動を重視したり家庭や地域社会との連携を図るなどいろいろな特色ある取り組みがなされてきている。さらに、子供たちのよさや可能性を生かし、豊かな心を育む道徳教育が展開されるためには次の点からの改善が必要となる。

○学校の教育活動全体で行われる道徳教育を構造的に捉え、自校課題の解決を図るとともに、今日的な課題に重点をおくなど、道徳の学習が発展的・系統的、重点的に行えるよう多様で弾力的な指導を工夫する。

○全教育活動を通して行われる道徳教育を補充、深化、統合する道徳の時間の指導を充実し、道徳的価値にかかわって一人一人のよさや可能性を生かし、伸ばすための適時性のある指導を工夫する。

○道徳の時間との関連を図りながら、道徳性の育成にかかわる豊かな体験の場の構成について見直しを図る。

各校においては、これらの視点にたって、自校にかかわる実践課題を明確にして、その改善、開発を図っていくことが大切である。

 

一 新しい学力観に立つ道徳教育の推進

 

道徳教育は、生涯にわたって心豊かに、主体的、創造的に生きていくために必要な資質や能力を調和的な人格の発達へとつなげる大切な役割を担っている。

そこで、子供が主体的に学習環境に働きかけ、思考を深めながら自ら道徳的な価値を獲得できるような考えを重視しながら、豊かな自己実現が図れるよう適切に指導・支援する新しい学力観に立つ道徳教育を推進することが大切なのである。

これらの視点から、各学校で作成される道徳教育諸計画の見直しを図り、学校教育全体で行う道徳教育や道徳の時間の指導の十分な指針となるものに改善していかなければならない。また、一貫した道徳教育を推めるためにも全教師が参画して作成するとともに各校の道徳的課題を十

 

 

 


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