教育福島0202号(1997年(H09)04月)-009page
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分に見据え、解決の方策を吟味していくことが必要である。
(1) 道徳教育で育て伸ばす資質能力
道徳の内容項目は、人格の基盤となる道徳性の発達を調和的に図るために基礎・基本となることがらを示している。道徳の学力は、道徳の内容項目を窓口として道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲や態度といった道徳的実践力を培い、自らの価値体系を再構成し、ふくらませていく資質や能力と捉えることができる。この価値体系の再構成は、生活する場すべてを通して行われるがその中核となる道徳の時間の指導の充実が極めて大切である。
(2) 全教育活動を通して取り組む道徳教育の充実
道徳の授業のねらいである道徳的実践力を育成するには、道徳の時間だけではなく、各教科や特別活動さらには日常生活、家庭や地域社会での生活など、全教育活動を通じて行う道徳教育との関連をもたせた指導を行うことが必要となる。したがって学校教育における道徳教育を一層充実させるためには、道徳の時間以外での道徳教育と、それらを計画的・発展的な指導によって補充、深化、統合する働きをもつ道徳の時間との関連をきちんと把握し、全体計画を生きて働くものにすることが大切である。また、全教育活動を通して取り組む道徳教育を充実していくには次の全体計画の機能を再検討し、自校の道徳教育総合プランを構想することが大切である。
○指導内容の有機的な横の関連を図る機能
○指導の場を明確にする機能
○学校の協力体制を組織化する機能
○家庭、地域社会との連携、協力を図る機能
○各領域における道徳教育の充実
(3) 各教科や特別活動における道徳教育では、それぞれの教育活動の特質に応じて行われることから、道徳的価値の学習が場あたり的であったり断片的な指導であったり、欠けているものがあったりして、その学習過程において行われる道徳学習は十分とはいえないことが多い。
そこで、各教科などで行われる道徳的価値の学習がより効果的に行われるようにするため、次の観点から検討してみる必要がある。
○各教科や特別活動における道徳教育のねらいと道徳の時間の指導とが有機的に関連し合っているか。
○重点指導内容項目について、他の領域との関連を図った発展的、系統的な指導ができるよう工夫をしているか。
○道徳の時間の中で、各領域の豊かな体験をとおして得た多様な道徳的価値にふれ、真剣に自分自身を見つめる場があるか。
○道徳的実践の場が、年間を通じて偏りがないよう計画的・発展的に設けられているか。
(4) 学級における指導計画の重要性
学級における道徳教育は、学級のあらゆる機会や場で行われる。例えば、教科の指導、道徳の時間、学級活動の時間、昼食の時間、学校行事等があり、その場でのできごとや学級担任と児童生徒、児童生徒相互の人間関係等を通じて行われる。
学級は、児童生徒にとって、学校生活における基礎的な集団であり、学習する場である。特に、学級集団におけるさまざまな人間関係や、学級における指導をとおして児童生徒の道徳性が育成される面で極めて大きな役割を担っている。
したがって、全体計画との有機的な関連を図りながら、道徳教育の一環として「学級における指導計画」を正しく位置づけて指導することが重要であり、日常の道徳的実践に結びつくよう具体化するための計画に改善を図っていく必要がある。またいじめ問題への対応も深くかかわっており、その点からも見直しを図ることが重要である。
○多面的な実態の把握がなされ、児童生徒の悪い面だけでなくよさを生かし伸ばす計画になっているか。
○生徒指導の基本方針と関連付けて、どのような児童生徒を育てるかが明らかになっているか。
○道徳の時間の指導方針を、各教科や特別活動とのかかわりを考えて設定し、道徳の時間の指導に生かす工夫がなされているか。
○児童生徒の願いや学級担任の個性を生かし、学級独自の豊かな体験活動を工夫しているか。
○心豊かに育てるために、よりよい人間関係の育成や、教室の環境整備などの計画が立てられているか。
○人間としての生き方についての内面的な自覚を深めたり、相互によさを発見し伸ばしていくことのできる機会が設定されているか。
○保護者に対して学級の指導方針を正しく伝えるなどの家庭地域社会との連携の仕方を明確にしているか。
二 道徳の時間の指導の充実
(1) 指導過程を柔軟に考える
道徳の時間ではねらいとする道徳的価値にかかわって自己の内面と向
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