教育福島0202号(1997年(H09)04月)-029page

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地、始皇帝の陵墓と兵馬俑、洛陽における中国最古の仏教寺院「白馬寺」、列車の車窓から見る田舎の風景、「故宮」「万里の長城」 すべてが一個の煉瓦を積み上げることから始まった建造物であるということを考えると、当時の王朝の権力の大きさを思わずにはいられませんでした。

さて、今回の旅行の主目的である「洛陽外国語学校」の表敬訪問では、互いに舞踊・演奏・歌を通しての交流を図ったわけですが、洛陽の生徒たちは難関を突破して入学しただけあって、いずれも卓越しており、子供の域を越えた素晴らしい発表でした。彼らの歓迎に対して須賀川の子供たちは、全員合唱やフォークダンスなどを披露しました。これを洛陽の生徒たちは、始め、遠巻きに見ていましたが、それは子供同士のこと、そのうちフォークダンスの輪にとけ込み、会場は子供たちの笑い声で満ちるほどになりました。通じぬ言葉で四苦八苦しながらコミュニケーションを図っていく様子がとても微笑ましく、互いに楽しい時間を共有する様子にほっと心をなでおろしました。

今回の西安・洛陽・北京の三都市の親善訪問を終え、再び福島空港に降り立った時、生徒たちは、皆今までと違った「ひとまわり大きくなった自分」を感じて満足しているように思えました。予想外の大雨による予定の変更もありましたが、私にとっても生徒たちにとっても心に強く焼き付いた旅行であり、今後の生き方に役立つものと思っています。

(須賀川市立大東中学校教諭)

 

発想の転換

佐竹恵子

 

「佐竹先生、立ち直りましたか?」

 

「佐竹先生、立ち直りましたか?」

講義の始まりにI・W指導主事がやさしく声をかけてくださいました。「え!立ち直ったか−−ということは、私は落ちこんでいなくてはいけなかったのだ」

それは、昨年の六月、経験者研修2)に参加したときのことでした。

一コマ目の講義で、所長が問題を出されました。

『この九つの点を全部通る四本の直線をひとふででかいてください』みんなは考えています。ん−−。どうして、何通りもあるじゃない。だれも答えないの。まちがいかなと思いつつ「ハイ」と返事をして黒板に進む私。

「え−−!」とみんなのどよめき。やっぱり悪い予感は当たった。私はひとふでという但し書きを忘れ、ただの四本の直線で九つの点を串し刺しにしたのです。

「いや、勇気がある。みんなが緊張している中、なかなかできることじゃない」

とのほめ言葉?を所長にいただき、すごすごと席にもどったのでした。

しかして正解は。九つの点を全部結ぶには、そのわくから大きくはみ出すように直線をひかなければなりませんでした。

実はこの問題、ただの頭の体操ではなく、『発想の転換をしよう』という意図があったのです。これを子供にあてはめると、「わくからはみ出た子供でも、見方を変えればいい能力を持っている」ということになるのだそうです。私はそこで、なるほどと納得し、自分の失敗を忘れていたのです。

たしかにそうです。何でも、これはこうするのがあたりまえ。ここからはみ出してはダメ。どうしてあの子は−−。こんなふうに、決めつけた見方をしてしまいがちです。違った方向から見ることにより、その子のよさが見え、そのよさを生かせるような援助ができるのではないでしょうか。あそこがダメ、ここがダメより、こんないいところもある、こんな素敵なところもある−−というような見方をこころがけていきたいと思います。

そして、この研修会でわかったことがもう一つ。それは、私こそがわくからはみ出した人間であり、それを『発想の転換』によりすくってもらっていたのだということです。

(南郷村立南郷第二小学校教諭)

 

ライフロングカレッジの開催について

福島県教育委員会と桜の聖母短期大学との共催で、今年度も「ライフロングカレッジ」−より良いパートナーシップをもとめて−今を生きる−コミュニケーションーを開催します。

二十一世紀を目前にして、男性・女性それぞれがお互いに、より良いパートナーシップとなるために、情報、地球、教育、自分自身、生と死とのコミュニケーションについて考えます。専門講師のもと、それぞれのテーマに分かれて、グループ学習を行いながら内容を深めていきます。

六月二十八日から九月二十七日までの間の第二、第四土曜日の午後に計六回開講し、最終日は講演会を行います。

県内在住の方ならどなたでも受講できますが、特に仕事をもっている方や男性の参加を歓迎します。定員は百名で、定員に達し次第、締め切ります。申込及びお問い合せは桜の聖母短期大学までお寄せください。

 

 

 


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