教育福島0203号(1997年(H09)06月)-007page

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中国湖北省教育委員会と本県教職員代表団との情報交換(武漢市にて)

中国湖北省教育委員会と本県教職員代表団との情報交換(武漢市にて)

 

ところで、父親の家庭教育参加とは、どのようなことを指しているのであろうか。私は、このことについて次のように考えている。すなわち、望ましい家庭教育像として、家庭には「父性と母性」とが適切に調和を保ちながら存在し、その基本的理念が適時適切に子供たちに浸透されていくことによって、倫理観、社会観、人生観の基礎が育まれていくということである。古来、「母性」は「包む働き」を意味し、相手を肯定し、受容することであると言われる。一方、「父性」は「切る働き」を意味し、現状のままを必ずしも善しとせずに、理想の状態を目指して相手を叱咤激励することと言われる。このことに鑑みると、近年の家庭教育にあっては母性に比較し、父性としての要素が希薄になってきていると指摘されていることが理解できる。誤解されると困るのであるが、父性としての要素を担うのは必ずしも父親であると限定するものではない。いずれにしても家庭教育の中で、その役目を誰が受け持つかは別として、今後大いに見直されなければならない視点であると痛切に感じている。

「自主性の尊重」の美名のもとに親が言いたいことも抑え、子供のやることのすべてを追認するようになってしまうとしたら、事は重大である。今こそ主体的に判断することのできる基盤としての要件が子供に備わっているかどうかを確認し、必要な対応をすることが極めて重要である。そして、そこにこそ父性としての存在意義があるのではないかと思うのである。

 

【著者紹介】

渡邊專一・わたなべせんいち

〔略 歴〕

昭和十二年十二月一日生まれ 二本松市出身

昭和三十五年 三月 福島大学学芸部卒業

四月 会津若松市立鶴城小学校助教諭

三十六年 四月 会津若松市立第二中学校教諭

三十八年 四月 県立若松女子高等学校教諭

四十 年 四月 県立福島西女子高等学校教諭

四十五年 四月 県理科教育センター指導主事

四十六年 四月 県教育センター指導主事

五十二年 四月 県教育庁高等学校教育課指導主事

五十八年 四月 県立会津高等学校教頭

六十年 四月 県教育センター科学技術教育部長

六十二年 四月 県教育庁高等学校教育課主幹

平成 元年 四月 県立小名浜高等学校長

三年 四月 県教育庁高等学校教育課長

五年 四月 県教育庁教育次長

七年 四月 県立安積高等学校長

 

 

 


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