教育福島0203号(1997年(H09)06月)-008page

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特集1

生徒指導の充実

義務教育課

 

一 生徒指導とは

 

1 生徒指導のキーワード

 

○ねらい 児童生徒の自己指導能力を育てること

〇対象 全児童生徒

○どこで 全教育活動

〇機能

・児童生徒に「自己決定との場を与えるこ」

・児童生徒に「自己存在感」を与えること

・児童生徒相互、児童生徒と教師の間に共感的関係(人間的触れ合い)を育てること

 

2 今なぜ生徒指導か

 

いじめや登校拒否問題等児童生徒の問題行動への対応のために、生徒指導はあるのか、と言えば、もちろん、いじめや登校拒否等の問題行動への対処という意味もある。しかし、それだけではない。学校教育を一枚の布に例えれば、教科指導、道徳教育、特別活動は縦の糸であり、生徒指導の諸機能はそれを織り成す横糸であると言える。両者がともにしっかり組み合わされ教育目標達成が可能となるのである。

どの学校の教育目標にも、生徒指導の内容が盛り込まれている意義は、それらが踏まえられているからであると認識したいものである。「私は、生徒指導などわかりません。考えたことはありません。」などという教員がいたとしても、実は一人一人が日々生徒指導を行っているのである。

学級経営や学習指導等において、生徒指導の機能を生かして指導の充実を図ることにより、児童生徒がより一層学校生活を楽しく充実したものとすることができるし、生徒指導の内容や方法を理解することによって、より充実した学校生活、教員生活を送ることができる。生徒指導とはそういう機能を持っている。生徒指導の成果は「教師自身の変容にある」とも言われている。生徒指導は教師自身を変えるのである。そして、今、それが求められている。

 

二 自己指導能力を育てる

 

1 自己理解を深める

 

第十五期中央教育審議会第一次答申の中に、「教育は、自分さがしの旅をたすける営みとも言える。」という一節がある。自分ならではの個性を見い出し、自己実現を目指してたくましく生きていこうとする児童生徒を育成していくということである。そのためには、まず、自らをよく見つめ、あるがままの自分をよくとらえることが大切である。発達段階に応じて、回りの人は自分をどう見ているか、どう理解されているかという視点を大事にして、自分自身を知ることである。

 

2 自己選択・決定の機会を設ける

 

児童生徒が、自分の在り方、自分たちの在り方を自ら判断し自分たちで選択し決定し、実行し、自ら責任をとっていくことが大切である。このような自己選択、自己決定の機会を作り経験を積み重ねていくことによって、主体的に選択し決定していく能力が高まっていく。このような場や機会は、特別活動や道徳などにおいても、また、教科等の学習の中においても大事である。

 

3 自立的(自律的)生活を築く

 

発達段階に応じて、いわゆる幼児期における身体的自立から、少年期の行動や学業学習の自立へと、そして、青年期の精神的自立(自律)が図れるよう、児童生徒個々の実態に応じて支援していくべきである。

自己指導能力を高めるためには、教師は教え過ぎたり、全てを指示したり、あるいは放任したりすることなく、自己を理解し、あるがままの自己を受容し、目標に向かって主体的に判断し選択決定して生きていこうとする態度を育てていくことである。すなわち、自己実現へ向かっていく過程を重視して指導に当たるこ

 

 

 


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