教育福島0203号(1997年(H09)06月)-038page
養護教育センター通信
研修紹介
「教員の意識改革を目指した研修の在り方」
「人とのかかわり」を知る
自分の体験から子どもの行動を知る手がかりを探ります。
研修・開発系
はじめに
現在、養護教育においては「子供一人一人を大切にする教育、きめ細かな教育」のより一層の推進が図られています。これは、「教師主導の授業から子供主体の授業」を目指し、子供のよさや個性を生かしながら子供自身が主体的に取り組む活動を重視しております。一方、障害児の学習の場の多様化やノーマライゼーションの世界的な大きなうねりの中で、子供が地域社会で主体的に生きることにより、自己実現を図っていくことも大切と考えております。
このように養護教育を取り巻く社会的環境の変化は著しく、それらに適切に対応するためには、教師一人一人が養護教育に関する課題を的確に把握しながら指導方法・内容のより一層の改善・充実を図っていくことが大切であり、教師の意識改革を目指した研修を工夫することが必要になります。
一 養護教育に携わる教師に求められるもの
(1) 専門性を追求する(スペシャリティーの獲得)
専門にかかわる知識(教育、医学、福祉、その他)や技能は、養護教育に携わる教師にとって最も必要な要素になります。教師は、すぐに実践できる具体的な知識な技能を求めがちですが、このような知識や技能は、学校現場での計画・実践・評価のサイクルの繰り返しにより深められていきます。当センターでは、これらの基礎・基本となる専門的知識や技能の習得を第一のねらいとして研修を進めています。
(2) 子供を深く見つめる(感性の深化)
子供一人一人の欲求や要求に耳を傾け、喜びや苦しみを共感できるような感性を磨くことは、養護教育に携わる教師に限らず、教師として身につけなければならない最も基本的な要素です。
体験を通して障害のある子供の気持ちを理解する努力をします。特に、受講者の新鮮な発見を大切にします。
(3) 多様な価値観に触れる(自己改革)
近年、多様な教育的ニーズが高まってきており、単に教育的なかかわりのみでは解決できない問題が多く包含され、教師として新たな対応が求められています。このような観点から養護教育に携わる教師は社会の構成員として、社会と共に歩み、学ぶ姿勢を大切にし、多様な価値感に触れることにより自ら変革の努力をしていくことが必要です。
二 特色ある研修をめざして
実際に実施している研修講座の一部を紹介します。新設講座を含め、これらの講座の構築にあたっては、障害のある子供たちの指導・援助に特に必要な基礎的・基本的分野及び障害児を担当する教師に求められる技術的・専門的分野から精選しました。
研修は、教師自身の主体的な取り組みができるような環境を設定することが重要であり、特に次のような点に留意しています。