教育福島0204号(1997年(H09)07月)-025page
ともあり得るだろう。
いずれにしても、未来は子供が担い、その日まで私たちが担わなくてはならない、という綿々とした流れ(計画)がある。
P・F・ドラッカーの言葉に、
「企業では、計画は収益からはじまる。しかし、非営利組織では、それは使命からはじまる」
というものがあるが、まさに父兄としての自覚と、使命をもっていきたいものである。
(浪江町立浪江小学校PTA会長)
ある研修会で得たもの 教育される教育者
鈴木愛子
今から四年前、自分の保育に迷いを感じ始めた時、ある研修会の案内状に目をとめた。
研修内容が「遊びの指導」、しかし期間が四日間ということが、私を躊躇させたが、保育技術を高めるためにもと参加を決意した。
初日の講義の中で、講師のN教授が、
「皆さんは、子供の特性や発達状態、そして子供の心をしっかりととらえて保育を進めていますか」
と問いかけた。
受講したほとんどが県内幼稚園の先生方で、中堅教諭やベテランの域に達している人たちである。なのに、なぜN教授はそのような質問をするのかと疑問に思ったが、研修が進むにつれてその意味が分かった。
N教授は、私たち受講者に研修課題を与え、教師役と子供役に分かれさせて実際に保育を展開させた。
遊びの指導は、幼稚園で日常行っていることなのに教師役も子供役も動作や表現がたどたどしく、与えられた研修課題を解決させる適切な援助や、また子供だったらこんな時どんな言動をするかなど、N教授が納得できるような保育を展開することができなかった。
「子供はそんなことはしない。もっと、子供の行動や心を考えて指導してほしい」との助言。
そして、いろいろな遊びの実技を通して、子供の遊びの問題点や指導方法なども具体的に指導をいただいた。
私は、今まで迷っていたことが一挙に解決できたように思えた。この研修会で学んだことが、二学期以降の保育活動に大いに役立ったことは言うまでもない。日々の指導にあたって、子供たちが目的意識をもって遊ぶためには、どのような環境にすればよいのか。また、遊びを盛りあげるような援助のあり方はどうあるべきかなど、常に配慮し、子供主体の活動と子供から学ぶことに心がけるようにもなった。
日本の幼児教育の理論を確立した倉橋惣三先生が、育ての心−−教育される教育者−−の一節の中で、「幼稚園で、より多く教育されるものは、−−より多くといわないまでも、幼稚園教育者はたえず幼児に教育される。教育はお互いである」
と言っている。私の好きな一節でもある。
幼児教育の道を歩んで二十数年の歳月を、子供たちと共に過ごしてきたが、今後も保育に迷い、惑うことがあると思うが、四年前に受けた指導を糧に、更に研鑽を積み自分を磨いていきたい。
(中島村立中島幼稚園主任教諭)
一枚の天気図から
長尾修
忘れられない天気図がある。
上海の東沖に台風がある。いつでも見られるような天気図だが、前日には全く台風の姿がなかったのである。
つまり、そこで台風が発生したのだ。北緯三十度以北の東シナ海で、しかも大陸の東岸で台風が発生するのだろうか。こんなに冷たい海で、台風が発生するはずがない。
当時、大学生だった私は、昭和三十年七月二十二日九時のその天気図に、しだいに引き込まれていった。
数日後、気象庁の図書館にいた。日本で最も権威のある「気象庁印刷天気図」を出してもらう。気持ちを抑えながら、頁を丁寧にめくる。じっくり眺めることにはじまって、上海の地上データを確認し、船舶の観測データを見て思案することは、時